若者が社会主義に寛容になったワケ
シディク氏はまた、「トランプ政権が軍事費や移民取り締まりの拡大に資金を増やし、億万長者に何兆ドルもの減税を与える一方、大多数の米国人への公共サービスを削減しています。このような資本主義の現状を踏まえ、若い人々は社会主義に対して寛容になっているのです」と付け加えた。
劇的な変革を望む若い有権者の心を掴むには、「反トランプ」の批判に終始するのではなく、具体的な代替案や建設的な政策を示すことが必要なのである。
民主党の急進左派の躍進を警戒するトランプ大統領と共和党は、米国人が持つ社会主義・共産主義への強い嫌忌感を刺激し、共和党への投票を誘導する戦略に出ている。
ミシガン州の民主党予備選で勝利したエルサイード氏と11月の本選で対戦する共和党のマイク・ロジャーズ氏は、「彼は過激派だ。このような過激な急進派が党の公認候補に選ばれるのを見たことがない」と批判した。
エルサイード氏をはじめ民主社会主義者の大半は、当選後も民主主義体制と資本主義制度の枠組みを維持・擁護する姿勢を鮮明にしている。それにもかかわらず、共和党側は急進左派の候補を社会主義者や共産主義者と位置づけて、激しい攻撃を展開している。
トランプ大統領も、「エルサイード氏は一見まともそうに見えるが、本質は憎悪にまみれた危険な共産主義者にほかならない」と断じた。さらに「社会主義者(共産主義者)が勝利すれば、米国人は食料や住宅、軍、法秩序などすべてを失い、悲惨な生活を強いられる」「彼らは、共産主義という名の災いによって、アメリカンドリームを破壊しようとしている」などと述べ、根拠を示さずに人々の危機感を煽る発言を繰り返している。
「これが民主社会主義です」
このような一連の攻撃に対し、マムダニ市長は「民主社会主義者が勝つとどうなるかを想像する必要はありません」と述べ、次のように続けた。
「私は昨年11月に当選してから、この半年で不可能だと言われていた政策を実現してきました。2歳児の無償保育、悪質な大家から借り手に数千万ドルを返還させ、16万5000カ所の道路の補修を進め、犯罪もニューヨーク市史上最低水準となりました。これが民主社会主義です。ニューヨーク市民はその成果を見て、国政でも同じ政策を選んだのです」(前出・ABCジス・ウィーク)。
急進左派の勢力拡大を警戒する声は、共和党のみならず民主党の主流派からも上がっている。実はこれこそが、民主党が直面している「ジレンマ」である。つまり、急進左派が勢力を伸ばすと主流派との溝が深まり、結果として中間票を失い、本選での勝利が遠ざかってしまうということだ。
なぜそうなるのか。「左派候補の急進的な政策は中道・無党派層に響きにくいため、党内の予備選を勝ち抜いても、共和党との本選で苦戦する」という懸念が主流派の間に根強くあるからである。

