もちろん、東南アジアでも職に就ければその後は安泰、というわけではない。月収30万円で日本企業のミャンマー支店に就職が決まった私の友人は、当初、中古車をネットオークションで売買するプロジェクトを立ち上げる予定でいた。
ところが、ミャンマーでは肝心のネット環境が整備されておらず、つながらない。プロジェクトを導入しても入札がままならないことが発覚し、急きょ、運転手付きの車を企業にリースする新規ビジネスを彼自らが提案したことで働き続けることができた。
海外での就職を成功させるには、彼のようにピンチをチャンスに変えられるガッツとバイタリティがないと厳しいだろう。
もちろん、条件という意味では、最良の手段は日本企業の本社採用となり、駐在員として現地に派遣される形を取ることだろう。賃金や待遇はローカル採用とは雲泥の差だ。
事実、ベトナムでの就職を斡旋した際には、ローカル採用では450万円だった年収が、日本での採用になると700万円と倍近く跳ね上がった。待遇面でも、現地での住居の保証や携帯電話の支給などを用意する企業は多いはずだ。
もっとも、駐在員としての募集は皆無に等しく、待っていても叶うものではない。むしろ赴任したい国でのビジネスプランを練り上げ、自分から企業に持ちかけるくらいの働きかけが必要となるだろう。
最後に、どの国で働く場合でも念頭に置きたいのは、海外就職は基本的に片道切符で、将来、日本の本社などに登用される可能性はあまりない、ということ。
キャリアアップのためにしばらく海外で働こうと思っている人には、最初から日本に留まることを勧めたい。
(構成=上島寿子)