企業のグローバル化が加速する昨今、転職においても海外を志向する人からの相談が増えている。
この場合、まずポイントになるのが、どの国で働きたいかということだ。
もし、欧米を希望するのであれば、相当に難しいと言わざるをえない。語学力などに高いスキルを持つ人材でない限り、雇用されることは少ないからだ。
その点、アジア圏はまだ現実的である。
とりわけ、ここ数年、求人数を伸ばしているのは東南アジアだ。ご承知の通り、「チャイナ・プラスワン」の動きからベトナムやタイなどに工場や営業拠点を置く日本企業が増加している。この流れが東南アジアの求人増の背景にあるのだろう。
しかも、彼の国々では求人の業種は多岐にわたり、語学も、英語もしくは現地の言葉がある程度できればよいとする場合が多い。欧米に比べはるかに採用される確率は高いといえる。
ただし、念頭に置きたいのは、求人のほとんどがローカル採用であることだ。雇用主がたとえ日本の企業であってもローカル採用となれば、賃金体系は現地の水準+αがベースになる。
たとえば、現地の人たちの平均月収が3万~5万円のフィリピンでは、日本人の雇用も月収15万~20万円がいいところだ。最近、日本女性の就職先として人気のあるタイのコールセンターは、月収10万~20万円程度。現地の人からしてみれば、それでも破格である。
ちなみに、人件費が高騰している中国では、現地で働く日本人の年収は500万~800万円の案件がそれなりにある。しかし、求人の大半が製造業関連と業種が限られている。稀に、年収1000万円クラスで工場の管理者を募集する中国企業もあるが、対象はソニーやパナソニックのような一部上場企業の部長クラス以上とハードルが高い。しかも、徹底した成果主義の中国では結果が出せなければ、即、首切りとなりかねないことも覚えておきたい。