相続後に売却し、兄弟で換価分割した例

実例3:相続後に売却(福島県、戸建て、Yさん62歳)

両親が1968年(昭和43年)に買った建売住宅の実家を相続し、兄弟3人で「換価分割」(相続人のひとりが代表として不動産を相続し、売却して得たお金を相続人で分ける方法)したYさん。

「実家は鉄道の駅からは遠く、子どもの頃は不便だったけれど、近くにバイパス道路が通ってからはロードサイド店がたくさんできて便利になりました。徒歩圏内にスーパー、ドラッグストア、病院、学校、飲食店などがあり、暮らしやすい場所です。だから、多分売れるだろうと。

兄弟3人とも持ち家で実家から離れた場所にバラバラに暮らしているので換価分割にしました。といっても、相続の手続きをするまで換価分割という言葉を知りませんでしたが」

先に父親が亡くなり、その後、母親が介護施設に入ったことで、父親と母親の共有名義だった実家はしばらく空き家になっていたそうです。父親の相続のときは、金融資産は名義を書き換えて相続人で分割しましたが、実家については何もしていませんでした。

当時は相続登記が義務ではなかったし、そもそもYさんには名義変更の認識もなかったそうです。そのため、母親が亡くなったとき、実感したのは知識不足だったと言います。

両親ともに亡くなった後、実家をどうするか、相続の手続きはどうするか、税金はどうなるのか……。

実家の売却は母親が懇意にしていた不動産会社に相談し、不動産会社から司法書士や片付け業者を紹介してもらいました。相続と税金については税務署のアドバイスが役に立ったと言います。換価分割とその方法も税務署に教えてもらいました。

予想通り早期に買い手が見つかる

「実家を売って3分の1ずつ分けることはすぐに決まりました。悩んだのは遺産分割協議書の書き方です。換価分割のために、私が長男なので代表者として実家を相続し、経費を支払った残りを3人で分けるという文案を話し合ってまとめました」

ラインのビデオ通話を使って兄弟3人で相談し、わからないことは税務署に聞きながら進めました。

遺産分割協議書を持つ弁護士の手
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

予想通り、買い手はすぐに見つかり複数の人から打診がありました。建物付きでそのまま買いたい人もいましたが、旧耐震基準であちこち増改築していて、震災で壁にヒビも入っているので安全面を考慮し、取り壊して建て直す人に売却しました。

取り壊しは買い手にしてもらうことになり、取り壊し費用を値引いた価格で売却。振り込まれた売却代金から経費を差し引いた金額を3等分して、ふたりの弟の口座に振り込みました。