実家跡地に行ったら建っていたもの
実例2:親が生前に売る(東京都、戸建て、Oさん60歳)
東京の郊外、私鉄沿線の駅から徒歩数分の場所にあったOさんの実家。両親がふたりで暮らしていましたが、父親は病気がちで入退院を繰り返し、自宅での生活が難しくなったため老人ホームに入ることになりました。
母親をひとりで実家に残すことに不安を感じた家族で話し合った結果、Oさんの自宅に母親を呼び寄せて同居することになりました。子どもはそれぞれ家を持っているので、父親の判断で実家は売ることにしたのです。
Oさんには兄と弟がいますが、実家からいちばん近い場所に住んでいたOさんが、体調が悪い父親の代理人として実家の売却に関する様々な手続きを代行しました。
仕事で知り合った不動産会社に実家の売却について相談し、建売住宅の業者を紹介してもらったそうです。その結果はOさんの予想を上回るものでした。
「実家の土地は広いけれど形が正方形ではなく、一辺がかなり長い長方形で間口が狭く使い勝手が悪いとずっと思っていました。建物は築50年を超えていましたから、あまり高くは売れないだろうとも。ところが、想定よりも高く建売住宅の業者が買ってくれたのです。
売ってしばらくたってから、実家のあった土地に行ってみて驚きました。もともと私の実家の1軒の土地だったのに、新築の家が4軒も建てられていたのです。この土地をうまく分割するなんて、素人には考え付かないアイデアでした」
マイホーム特例を使って節税
父親名義の居住用財産だったので、3000万円特別控除(通称・マイホーム特例。親が生きているうちに自宅を売った場合、売却益から3000万円を差し引ける制度)を使うことで売却益はなくなり、所得税・住民税はかかりませんでした。その後、母親も亡くなり、相続財産がすべて金融資産になっていたことで遺産分割はスムーズに進みました。
「いちばん大変だったのは、家財道具の片付けです。更地にして引き渡すことになっていて、片付けが終わったのは解体工事が始まる日の朝。最後のゴミをゴミ集積所に出し終えてホッとしました」
自宅と実家はそれほど離れていなかったので、片付け業者には頼まずに、自分で何度も通って自治体の収集規定でゴミとして出せるものはゴミに、家具などは粗大ゴミとして出したそうです。
「両親はモノを捨てられないタイプで、何十年分もの書類や様々な道具が山のようにありました。両親の荷物を片付けながら、生前整理の大事さをかみしめ、自分はちゃんと片付けておこうと思いました」

