「読む」「調べる」作業は、情報の海に溺れやすい

作業をしていると、往々にして目的意識を失いがちになります。これは誰もが陥りがちな人間ならではの特性です。

特に「調べる」「読む」という作業は没入しやすいと言えるでしょう。集中しているつもりで、実際には目的からどんどん離れていきます。

「この資料、よくできているな」
「この人の分析、面白いな」

そう思いながら読んでいるうちに、当初の目的がどこかに消えてしまう。

それ自体が悪いわけではありません。問題は、立ち返るポイントを持っていないことです。

「目的から逆算する」調査に徹しろ

「今やっていることは、最終成果物につながっているか」
「目的に沿った情報収集になっているか」

こうしたチェックポイントを、作業の中に意図的に設ける必要があります。

特に「読む」「調べる」という作業は、情報の海に溺れやすい。ジャンプして、リンクをたどって、広告を見て、気づけばまったく別の世界に行ってしまう。

プライベートならそれでもかまいません。しかし、仕事においては情報の海に溺れないよう常にチェックするべきです。

「読んだら負け」――読むことはゴールではない

私が研修の場でいつも口にするのが、「読んだら負け」というフレーズです。

これは、読むこと自体を否定しているのではありません。むしろ、読むことは仕事の中で欠かせない行為です。

ただ、「読む」という行為そのものは目的ではありません。大切なのは、読んだ結果として何をするかということです。

たとえば、上司から「この業界について調べておいて」と言われたとします。

そこで業界レポートを何十ページも読み、統計データを眺め、ニュース記事をいくつもチェックします。しかし、「勉強になりました」で終わってしまったら、仕事は一歩も前に進みません。

読むという行為は、アウトプットを生み出すための手段です。読むこと自体が目的化した瞬間に、その仕事は失敗します。

だから私は、「読んだら負け」という少し乱暴な言い方をしているのです。読んで満足してしまったら負け、読むことがゴールになったら負け、という意味を込めています。

まず、全体構造を一気に把握せよ

読むという行為は、次の3つのステップで構成されます。

1 まず、何を知るべきかを特定する(一次調査)
2 次に、知るべき情報を探して読み解く(二次調査)
3 最後に、読んだ内容をアウトプットにつなげる

ただ読むのではありません。この3ステップを通じて、目的に向かい、情報を探し、読み取り、成果物につなげていく――これが「読む」という行為の全体像です。

ここで、少し具体的な例を出します。

たとえば、総務省の『情報通信白書』や業界レポートを読む場面を想像してください。分厚い冊子やPDFで、200ページを超えることも珍しくありません。

多くの人は、「ちゃんと読まなきゃいけない」と考え、1ページめから順番に読み始めます。しかし、それをやっていると、必要な情報にたどり着く前に、時間がなくなります。

だから、まずやるべきことは、全体構造を一気に把握することです。

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