「モノ」より「時間」を買う
では、お金は気分のために、どう使えばよいのでしょうか。
ここで参考になる研究があります(※4)。お金で「モノ」を買うより、お金で「時間」を買う人のほうが、幸福度が高い、というものです。たとえば、次のような支出です。
・掃除を外注する
・職場の近くに住んで通勤時間を減らす
・家事代行を頼む
・面倒な作業を人に任せる
・少し高くても、移動時間の短いルートを選ぶ
こうした支出は、見た目には地味です。新しい服やガジェットを買うほどの高揚感はありません。けれど、日々のストレスを減らし、回復の時間を増やし、心の余白をつくります。
お金で何かを増やすことより、お金で何を減らすか。この視点は、かなり大事です。お金は、気分を決める唯一の要因ではありません。
けれど、お金は確かに気分に関係しています。大切なのは、「お金があれば幸せになれる」と信じすぎないこと。同時に、「お金なんて関係ない」ときれいごとにしすぎないこと。
お金は、しっかり稼ぎましょう。
いまの苦しみはお金の不足から来ているのか
お金は、人生の苦しみを減らす道具であり、選択肢を増やす道具であり、時間を取り戻す道具です。けれど、孤独や燃え尽きや慢性的な不安まで、すべて肩代わりしてくれるわけではありません。
「もっと稼げば、全部よくなるはず」と思っているときほど、自分に問い直してみてください。
いまの苦しみは、本当にお金の不足から来ているのか。それとも、休めていないからなのか。眠れていないからなのか。誰にも頼れていないからなのか。その問いを持てるだけで、お金との距離は、少しだけ健全になります。
※4 Whillans, A. V., Dunn, E. W., Smeets, P., Bekkers, R., & Norton, M. I. (2017). Buying time promotes happiness. Proceedings of the National Academy of Sciences, 114(32), 8523-8527.
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