戦争がどのような結末になろうが「ロシア解体」は避けられない

じつは開戦前、筆者は「ロシアの敗北」以外にもう1つ“予言”していたことがあります。

それは、プーチンとロシアが辿るであろう末路についてです。

――もし開戦となれば、その時点でプーチンの失脚は確定。

ただロシアという国家そのものまで亡びるかどうかは戦争の長期化次第。

短期(1〜2年)で終われば国は保つかもしれないが、長期(4年以上)化すればプーチンの道連れとなって国家も解体するだろう。

そして今、「露育戦争」は4年を超えました。

これでロシアの解体も決定的です。

もっともプーチン本人はまだ諦めておらず、おそらくは「なんとしても妥協点を探って最悪でも痛み分けに持ち込み、国内向けには『勝った!』と喧伝をかけて有耶無耶にする」つもりかと思われます。

しかしながら、露育両国に「妥協点」はほぼなく、まず以てその成立自体がきわめて困難ですが、仮に(仮定法未来)プーチンの要求がすべて通っての和睦が成ったとしましょう。

◆戦中の占領地はすべてロシアに割譲
◆戦後、ウクライナがNATOに加盟しないことの確約
◆戦後、ウクライナの軍備制限

ロシアにとってちょっと考えられないような好条件ですが、仮にこれらの条件をすべてウクライナが呑んで講和したとしましょう。

それならば、こたびの戦争はロシアの「勝ち」でしょうか。

ニエット」です。

断じて「否」、紛うことなき「敗北」です。

一般の方は「戦術」と「戦略」の区別が付かないので、局地戦で勝ったり、要求を呑ませたりするだけで「ロシアの勝ちだ!」と騒ぎます。

しかし、戦争というものはそういうものではない。

ここまで「兵法」を学んできた読者諸氏にはもうおわかりでしょう。

戦術的に勝利しても、戦略的に敗北すれば意味がない

たとえば将棋でも「目の前の駒に釣られて“駒得(戦術的勝利)”を重ねていたら、いつの間にか詰んでいた(戦略的敗北)」では意味がない。

戦争も同じ。

どれほど目の前の敵軍を打ち倒して占領地を手に入れ(戦術的勝利)ようが、戦後、社会が頽廃たいはいし、秩序は紊乱し、経済が破綻した(戦略的敗北)のなら、それは「敗戦」です。

そして今回、ロシアは「総力戦」に近い全面戦争を長期間にわたって実行してしまいました。

ドイツ第二帝国然り、オーストリア二重帝国然り、オスマン帝国然り、ナチス・ドイツ然り、ファシスト・イタリア然り、大日本帝国然り、歴史上、「総力戦」で敗れた主要国はほとんど体制崩壊しています。

こたびロシアだけが例外となることはないでしょう。

廃墟の高層ビルと主に曇り空を持つ荒涼とした都市景観
写真=iStock.com/Bulgac
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