日本人の寒さを我慢する傾向が裏目に

質のいい睡眠を得るために最適な温度と湿度について、もう少し見ていきましょう。

広島大学が行った研究では、寝室で「寒い」と感じることが、睡眠の質を悪化させる要因であることがわかっています(※6)

快適と感じる温度・湿度には個人差はありますが、室温17~28度、湿度40~60%が最適とされる研究報告があります(※4)

また、寝床内(布団の内側)の理想的な温度は先述したとおり33度前後、そして理想の湿度は50%±5%とされています(※1)

この温湿度環境が、睡眠中の体への負担が少なく、質のいい睡眠につながるとされています。夏も冬も、冷暖房や加湿除湿機をうまく活用し、理想の温度湿度環境を保つことが大切です。

世界保健機関(WHO)が推奨する居住内の気温は18度以上(※3)ですが、東京工業大学(現・東京科学大学)が行った研究では、日本の住宅の冬の平均気温は、居間:約16.8度、脱衣所:約13.0度、寝室:約12.8度という結果でした(※3)

日本人は寒さに対して我慢強い(我慢する)傾向があるかもしれませんが、それがかえって日中の快適さや睡眠の質を低下させてしまっている可能性があります。

近年は、外の暑さや寒さの影響を受けにくく、室温を一定に保ちやすい「断熱住宅」が注目されています。断熱住宅へよく取り入れられるのが、高性能な窓ガラスや、窓サッシです。

窓ガラスは壁よりも外気温の影響を受けやすい素材のため、熱の出入りが大きい場所です。たとえば大きな窓のある部屋や、窓の数の多い部屋は、夏には暑く、冬には寒くなりやすい傾向といえます。

断熱材のような働きをするカーテン

新築やリフォームであれば、断熱性の高い窓ガラス(複層ガラスや真空ガラスなど)や、熱を通しにくい樹脂サッシなどの導入が可能ですが、建て替え予定のない場合や、賃貸では「カーテンによる工夫」での対策がおすすめです。

①遮熱・断熱機能つきカーテン

特殊な裏地や加工によって、夏は外からの熱気を反射し、冬は室内の暖気を逃がしにくくなります。レースカーテンでも遮熱・断熱機能つきの生地があるので、日中でもレースカーテンで対策が可能です。

②ひだの大きいカーテン

ひだ(ドレープ)が大きいカーテンは、カーテンに空気層を生み出し、これが断熱材のような働きをします。

ひだの形状は主に「フラット(ひだなし)」「1.5倍ひだ」「2倍ひだ」があります。「1.5倍ひだ」は窓幅に対して1.5倍の生地を、「2倍ひだ」は2倍の生地を使用したカーテンのため、2倍ひだのほうがボリュームがあります。

そのため、断熱性を重視する場合は、フラットより1.5倍ひだ、1.5倍ひだより2倍ひだのほうが、効果が高くなります。

ただし、フラットはすっきりとした形状なので、断熱性は重視せずカーテンの柄を見せたい場合はこちらがおすすめです。

【図表】主なカーテンのひだの形状
出典=『科学的根拠に基づく 最高の睡眠空間』(かんき出版)

また、ドレープカーテン以外にも「空気の層」が存在するのが「ハニカムスクリーン」です。

ハニカムスクリーンは、主に六角形の立体的な空洞構造によって空気の層を形成するスクリーンの1つで、この空気層が断熱材のような働きをします。

同じハニカムスクリーンでも、六角形のセルのサイズや、セルの数がシングルかダブルかによっても断熱の程度は異なってきます。より高い断熱効果を期待する場合は、大きめのセルサイズで、ダブルセル構造の製品を選ぶのがおすすめです。

【図表】ハニカムスクリーンはセルの数によって断熱の程度が異なる
出典=『科学的根拠に基づく 最高の睡眠空間』(かんき出版)

※6 Chimed-Ochir O, Ando S, Murakami S, Kubo T, Ishimaru T, Fujino Y, Ikaga T. Perception of feeling cold in the bedroom and sleep quality. Nagoya J Med Sci. 2021;83(4):705–714.