なぜ日本はこれだけ貧しくなったのか
AP通信が扱ったのは、シングルマザーだ。
2024年1月25日配信記事では「豊かなはずの日本で、子供たちは貧しくなっている。」というタイトルで、シングルマザーたちが睡眠を削って長時間働き、それでも貧困状態にある現状を描く。
ホームレスを取り上げたのが、今年4月、米公共放送PBS系のテレビ、クロンカイトニュースだ。政府統計では日本のホームレスは減っているように見える。しかし実際の調査は、昼間に公園や道路、河川敷などで「目視できる人」しか数えないため、ネットカフェなどにいる「見えないホームレス」が抜け落ちると報じている。
こうした海外報道を追っていくと、一つの疑問が浮かぶ。かつて豊かだった日本で広がる生活苦は、いったい誰の責任なのか。
2024年IMFの報告では、1980年代以降拡大した日本の所得格差を取り上げている。
女性や高齢者が働くことで縮まるはずの格差が、就労先が低賃金のパートや非正規雇用に集中したことで、効果が相殺されたと分析している。
さらにIMFは、所得の再分配についても、「他国と比べて再分配効果が相対的に弱い」と指摘する。つまり、所得格差だけでなく、その格差を税や社会保障で是正する力も弱いということだ。
また非正規労働者に関しては、前出の記事でフェイリング氏が、現在の若者の貧困の要因を、少なくとも安定した収入を保証していた従来の「終身雇用」モデルの崩壊と、それに代わって「フリーランス」や「ギグワーカー」という形態が台頭したことにあると書いている。
景気低迷でも人口減少でもない
これを数字で分析し、ダイレクトな言葉で表現したのが、2026年のOECDの調査だ。
同調査では日本企業が、非正規労働者を緩衝材として雇っていると指摘。正社員の雇用保障が強いため、企業は「雇いやすく解雇しやすい」非正規を、景気変動への調整弁として使ってきた、と説明している。
また、男女間の賃金格差がOECD諸国の中で最も大きい部類に属していると指摘。これも、非正規雇用における女性の割合が大きいことが一因と明示する。非正規労働での男女格差も、OECDで最も高い水準にあると説明している。
こうした現状から見ると、日本の貧困は単なる景気低迷や、人口減少などが理由の自然現象ではないことがわかってくる。OECDやIMFが政治責任と直接書いているわけではない。しかし誰を守り、誰に負担を負わせるかという制度・政策の結果でもあることが見えてくる。

