社会的関わりと対局的な「人に必要なもの」

古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが述べたように、人間は社会とのかかわりなしには生きられない「社会的動物」です。しかし社会的動物であっても、プライベートな領域をもつことは人間が元来もっている基本的な欲求のひとつです。

仕事も家事・育児も、生きていくうえでもちろん大切です。しかし、社会や職場に過度に適応しようとすると、そこからの期待と自己の本来の欲求との間に乖離が生じ、それ自体が孤独感につながります。また逆に、家庭内の労働に追われて、コミュニティとのつながりやプライベートな友人との交流が失われても、孤独への道を歩むことになります。

仕事や家事・育児以外に、趣味や創作、地域のコミュニティ参加など、個人として自由に参加できる活動の場にこそ、自己実現の欲求が満たされる空間があります。しかし30〜40代は、そうした時間や居場所が最も失われやすい時期でもあるのです。

カメラを持つ手
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30〜40代も無縁ではない「孤独死」

20〜30代の項でも述べたのと同様、30〜40代もまた「孤独死」や「孤立死」と無縁ではありません。

この世代の「孤独死」の増加には、未婚率の増加も影響していると考えられます。中には家族とともに暮らしていながら、引きこもりになり、家族に気づかれぬまま亡くなっていた例もあるのですが、独身で一人暮らしとなれば、孤独死のリスクは大幅に高くなります。

ちなみに前述したとおり「孤独死」と似た言葉に「孤立死」がありますが、いずれの場合も、死因の中で最も多いのが病死で、特に心筋梗塞や不整脈などの急性心疾患や、脳出血、くも膜下出血、大動脈瘤破裂などの血管疾患などが原因の「突然死」によるケースが多く見られます。

「突然死」は年間約8万人にものぼり、特に40〜50代の男性に多いといわれていますが、30〜40代でも増加傾向にあるといいます。

突然死を招く心疾患や血管疾患は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙習慣などが発症の危険因子として挙げられますが、基礎疾患がなくとも過労やストレスが引き金になるなど、「働き盛り」の年代では誰もが大きなリスクを抱えているといえます。

さて、こうした孤独死や孤立死のリスクをさらに高めるのが、「セルフネグレクト(自己放任)」です。