考え方の一部は日常生活でも応用できる
東京大学らが行った研究では、慢性不眠症の治療として認知行動療法を受けた場合、症状が落ち着く「寛解率」は41%で、薬物療法の28%よりも高いという結果が得られました(※7)。また、認知行動療法は脱落率が低く、不眠症患者へ受け入れられやすい治療であることもわかっています。
しかし、日本では認知行動療法に対応している医療機関がまだ少ないのが現状です。
認知行動療法には医師や臨床心理士などの専門家による指導が必要ですが、この専門家の数が少ない状況にあるためです。
認知行動療法が有用であることを証明するエビデンスは増加傾向にあるので、今後は日本でも相談できる医療機関が増えていくかもしれません。
睡眠における認知行動療法は、睡眠日誌を書いて睡眠時間や睡眠スケジュールを見直したり、睡眠に対するネガティブな考え方を修正したり、就寝前にリラクゼーション法を行ったりと、基本的には専門家のもとで治療計画を作成し進めていきます。
認知行動療法は自己判断で進めるものではないですが、考え方の一部は日常生活でも応用できます。この「ベッドを眠る場所と認識させる」ことは快眠への入口として気軽に取り入れることができるでしょう。
自宅で「認知行動療法」を取り入れる方法
では、ご自宅のインテリアをどう工夫すればより効果的に「ベッドを眠る場所と認識させる」ことができるか、ご紹介していきます。
① 就寝時以外はベッドで過ごさない
認知行動療法的に、日中ベッドに横たわる姿勢をとることが夜の睡眠に悪影響を及ぼすとされています。
ベッドに横になってスマホやテレビを見たり、パソコンを広げて仕事をしたり、食事をとったりしている生活スタイルでは、「ベッドの上は活動して過ごす場所」と脳が認識してしまい、夜に寝ようとしても覚醒状態が続きやすく、睡眠の質低下につながる可能性が考えられます。
ベッドからテレビやプロジェクターを見るレイアウトは避け、日中過ごすスペースと就寝するスペースは明確に分けるようにしましょう。
②「眠れないとき」はベッドから出る
認知行動療法的に、眠れないのにベッドの中で過ごし続けることによって睡眠効率が低下し、不眠症状のさらなる悪化につながる可能性があるとされています。
眠れない状態が続くと、脳は「ベッド=眠れない場所」と認識し、さらに寝つきが悪くなる悪循環に陥ってしまいます。眠れるまでベッドの中で何分も何時間も過ごしてしまうことは、逆効果です。
認知行動療法において「ベッド=夜に眠る場所」と認識させるためには、「眠くなるまでベッドに入らない・ベッドでは眠ること以外行わない・毎朝同じ時刻に起床する・ベッドでの昼寝は避ける・15〜20分眠れなければベッドから出る」ということが推奨されています。
夜、ベッドに入っても20分以上眠れない場合は、いったん起きて別の場所で過ごし、眠気を感じてから再びベッドに戻るようにしましょう。
このとき、ベッドから出てスマホやテレビを見るのではなく、穏やかな音楽を聞いたり、軽いストレッチをしたりして、リラックスして過ごすことが大切です。ゆったり過ごせるソファや一人掛けチェア、ビーズクッションなど、ベッドとは別にリラックスして過ごせるスペースを作っておくとよいでしょう。
また、部屋の照明は暗めのオレンジ色にして過ごすことも意識しましょう。
住まいや寝室の環境をほんの少し変えるだけで、日々の眠りの質が変わります。ぜひ、今夜からベッドでの過ごし方と部屋の環境を見直してみてはいかがでしょうか。
※7 Furukawa Y, Sakata M, Furukawa TA, Efthimiou O, Perlis M. Initial treatment choices for long-term remission of chronic insomnia disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. Psychiatry Clin Neurosci. 2024 Nov;78(11):646-653.
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