ベッドなどで真横に寝る昼寝は避ける
そして昼寝の「長さ」も大切です。
5、10、20、30分の昼寝後のパフォーマンスをそれぞれ調査した研究では、10分、20分の昼寝だと起きた直後の眠気が少なく、パフォーマンスが向上しやすいことがわかっています(※4)。
また、10、30、60分の昼寝後のパフォーマンスや眠気を調査した研究では、どの時間でも注意力は改善され、特に30分の昼寝では記憶力の向上がみられることがわかっています(※5)。
最適な昼寝時間には個人差があるものの、これらの結果から、まずは10〜30分程度を目安に取り入れることをおすすめします。
そして、昼寝の効果を最大限に引き出すには、「どこで寝るか」も大切です。
短時間の昼寝でのベッドの使用はおすすめできません。ベッドは深く眠るために最適な環境のため、20分だけのつもりでも、寝心地がよく、つい長時間眠ってしまう可能性があります。
10~30分程であれば、デスクに伏せる姿勢での昼寝スタイルがおすすめです。長時間は眠りにくい姿勢ですし、深い睡眠状態を回避できるため、すっきりと目覚めやすいといえます。
また、完全には横にならないリクライニングチェアもおすすめです。背もたれを少し倒して、体を支える姿勢であれば、首や背中に負担がかかりにくく楽な姿勢で過ごせます。
実際に、オフィスのパワーナップスペースにも、リクライニングチェアなどやや傾斜を持たせた椅子やソファがよく導入されている傾向です。
なお、昼食後すぐに真横になってしまうと、消化不良や逆流性食道炎のリスクが高まる可能性があります。その観点からも、ベッドなどで真横に寝る昼寝は避けましょう。
薬物治療よりもメリットが大きい不眠症治療
夜、ベッドの上でテレビやプロジェクターを見たり、スマホやパソコンを操作したりするのは、多くの人にとって当たり前の習慣かもしれません。中には、毎晩そのスタイルで過ごしている方もいるでしょう。
しかし、ベッドの上で「眠ること以外の行動」を習慣化してしまうと、睡眠の質が低下する可能性があります。
質のいい睡眠のためには「ベッドは眠る場所」と頭に認識させることが大切です。
日常的にベッドの上でスマホを操作したり、テレビを見たりしていると、脳がベッドを「活動の場」と認識し、いざベッドで眠ろうとしても頭が冴えてリラックスしにくくなってしまったり、自然な眠気が起きなかったりといった、睡眠への悪影響が出やすくなります。
このように「ベッドを眠る場所と認識させる」ことで睡眠改善を行うことは、「認知行動療法」の1つです。
この「睡眠における認知行動療法」とは、睡眠に対する考え方(認知)や生活習慣(行動)を見直し、整えることで、睡眠の質を改善する治療法です。
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカの睡眠医学会においては慢性不眠症治療ガイドラインの第一選択です(※6)。副作用がなく、長期的な効果が期待できることから、薬物治療よりもメリットが大きいとされています。
※4 Brooks A, Lack L. A brief afternoon nap following nocturnal sleep restriction: which nap duration is most recuperative? Sleep. 2006 Jun;29(6):831-840.
※5 Leong RLF, Lau TY, Dicom AR, Teo TB, Ong JL, Chee MWL. Influence of mid-afternoon nap duration and sleep parameters on memory encoding, mood, processing speed, and vigilance. Sleep. 2023 Apr;46(4):zsad025.
※6 Edinger JD, Arnedt JT, Bertisch SM, Carney CE, Harrington JJ, Lichstein KL, Sateia MJ, Troxel WM, Zhou ES, Kazmi U, Heald JL, Martin JL. Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2021 Feb 1;17(2):255-262.

