潜水艦でも時間帯に応じて照明を調整
実際に、何日も太陽の光が届かない潜水艦の中では、生活リズムを保つために時間帯に応じて照明の色を調整している事例もあります。
・潜水艦内のような、自然光が入らず常に一定の照明で過ごす場合
・勤務中は青白く明るい照明、勤務後はオレンジ色に切り替える場合
を比較した研究では、後者のほうが体内時計が整いやすくなることが報告されています(※2)。長時間室内で過ごすことが多い私たちにとっても、太陽光を感じにくいという点で、潜水艦内の環境と似ている部分があるといえます。
1日中同じ照明の下で過ごすのではなく、時間帯に合わせて光の色を変化させることで、生活リズムを整えやすくなるでしょう。リズムが整うことで、日中の集中力やパフォーマンスが高まり、夜の睡眠の質向上も期待できます。
現在では、調色機能がついた電球やシーリングライトが多くのメーカーから販売されています。リモコン操作など手動で色の切り替えを行うタイプのほか、アプリと連動させて設定した時間に自動で光の色を切り替えるものもあります。
日中は青白い色のシャキッとした光で覚醒・集中して過ごし、夜は夕日のような落ち着いたオレンジ色の光に切り替えてリラックスして過ごしましょう。照明の光を切り替えるだけで、自然とメリハリのある生活スタイルに向かいやすくなります。
自然とともに暮らす民族の中には、現在でも自然光を時計代わりにして1日を過ごしている民族も存在します。私たちのように室内中心の生活を送っている人は、自然光を感じづらいという弱点を、「照明の工夫」で補っていくことが必要です。
夕方以降、白色からオレンジ色へ光が変化することによって、「もうすぐ仕事を終わらせる時間だな」「そろそろリラックスモードへ切り替える時間だな」と、時計を見ずとも脳が切り替わりやすくなるというメリットもあります。光が無意識のうちに脳に働きかけ、身体を休息モードへと導き、いい眠りが得られやすくなるでしょう。
質のいい睡眠が得られやすい入浴の方法は
湯船に浸かる入浴の文化は、日本ならではの習慣の1つです。
「体を清潔に保つ」「体を温める」「1日の疲れを癒す」といった目的で、入浴は心身の健康を支える大切な習慣といえます。ただ最近では、時間の都合やライフスタイルの変化から、シャワーで済ませるという方も増えてきています。
しかし、いい睡眠を得るためには、シャワーだけでなく湯船に浸かる入浴をおすすめします。もちろん、睡眠に適した入浴の方法を意識することが大切です。
私たちの1日の生活リズムと、1日を通しての深部体温の変動には、相互に関連性がみられます。
深部体温は夕方頃に最も高くなり、その後就寝に向かって低下していきます。この深部体温の下降が眠気を引き起こしやすくするため、夜は体温を下げる方向に働きかけることが、スムーズな入眠につながります。この深部体温の下降を促す要素の1つが入浴です。
「温かいお風呂で体温が上がってしまうのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。確かに温かいお風呂に浸かることで、入浴直後は深部体温が上昇しますが、これは一時的なものです。いったん上がった深部体温は、その後反動で自然と急降下しやすくなり、この体温低下が眠気を誘いやすくなります。
入浴するタイミングは、就寝の約90分前が最適とされています。体温と睡眠の質を調査した研究では、就寝の1〜2時間前に入浴することで、自然な寝つきと質のいい睡眠が得られやすいことがわかっています(※3)。
ただし、湯温が高すぎると交感神経が活性化し、かえって目が冴えてしまう可能性があります。リラックスするなら、「少しぬるい」と感じる程度の温度がおすすめです。
十分に体を温めつつ、心身を落ち着かせることができるでしょう。
※2 Guyett A, Lovato N, Manners J, Stuart N, Toson B, Lechat B, Lack L, Micic G, Banks S, Dorrian J, Kemps E, Vakulin A, Adams R, Eckert DJ, Scott H, Catcheside P. A circadian-informed lighting intervention accelerates circadian adjustment to a night work schedule in a submarine lighting environment. Sleep. 2024;47(11):zsae146.
※3 Haghayegh S, Khoshnevis S, Smolensky MH, Diller KR, Castriotta RJ. Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2019;46:124-135.

