秀頼出産時に手紙で念押ししたこと
また、この文言の前には「ひろいに乳をよくよくのませ候て、ひとね候べく候。ちち足り候やう、飯をもまいり候べく候」(拾に母乳をよく飲ませ、独り寝させよ。乳がよく足りるように飯を食べなければならない」との一文もあります。乳母の乳ではなく、茶々の母乳で拾を育てていたのです。
別の茶々宛の書状でも秀吉は「せつかく精に入れ、ちちをのませ候へ」(一生懸命に乳を飲ませよ)と拾に多くの母乳を飲ませることを勧めています。乳が細くなると拾の生育にも差し障りがあるからです(仮に茶々の乳の出が悪くなった場合は乳母の乳を飲ませよということを秀吉は示唆していると思われます)。
このように秀吉は茶々や拾のことを大いに気にかけていました。茶々は拾を母乳で育て、秀吉と共に子育てをしていたのです。秀吉は幼い拾に「口を吸い申すべく候」(キスをする)と言うほど、溺愛していました。秀吉の書状を見ていくと、秀吉と茶々の夫婦として、また幼子の父母としての仲睦まじい姿が浮かんでくるのでした。
参考文献
・桑田忠親『太閤秀吉の手紙』(角川書店、1965年)
・福田千鶴『豊臣家の女たち』(岩波書店、2025年)


