海外では「異世界転生」が大人気
●日本アニメの立ち位置
●ラブコメは海外では値段がつきにくい
ここからは、なぜ異世界転生ものがそこまで海外でウケるのか、私の推測も交えてお話しします。あくまで現場のアニメプロデューサーとしての肌感ですので、確定情報ではなく、1つの見方として受け取ってください。
まず海外市場、特に北米市場を理解するうえで大きなヒントになるのが、ハリウッド映画です。『アベンジャーズ』シリーズを中心としたマーベル・スタジオの作品を思い浮かべるとわかりやすいと思います。
巨大な敵や圧倒的な力、派手な戦闘、わかりやすい善悪、爽快な勝利など大味で理解しやすく、「ドーン、バーン、ゴーン、ラブ」というシンプルな構成をしています。爆発して、戦って、勝って、最後に感動する簡潔さが、世界共通で伝わりやすいのでしょう。
もちろん細かいドラマはありますが、根本にあるのは「強い敵を倒すカタルシス」です。海外では、このわかりやすい快感が非常に強いといえます。
異世界転生バトルものは、まさにこの「わかりやすさ」「大味な爽快感」を満たすジャンルです。異世界へ行き、弱かった主人公が最強になり、理不尽を力でひっくり返すストーリーや圧倒的能力で無双するといった内容は、設定説明もシンプルで、文化を越えて理解しやすいのです。
20億〜30億円のコンテンツを数億円で確保
それだけではありません。海外配信プラットフォームがどう経営判断するかという観点も重要になります。たとえば、海外プラットフォームが自社で超大作映画を作る場合、製作費は数千万ドル、日本円で数百億円規模になることがあります。
しかも、その作品がヒットする保証はどこにもありません。もし失敗すれば、莫大な赤字になります。自社オリジナル超大作というのは、超ハイリスク・ハイリターンの賭けなのです。
一方、日本アニメは「1話あたり10〜15万ドル程度」、つまり12〜13話分(1クール)まとめて買っても全体で180万ドル(約2億9000万円)程度に収まります。総製作費にして20〜30億円規模のコンテンツを、数億円程度の投資で確保できる計算です。


