前頭葉を楽にする「白黒つける」に要注意

1.白黒つけたがるクセをやめる

歳をとって前頭葉の機能が衰えてくると、認知的複雑性が低い考えかたをしがちです。結論を急いでグレーゾーンが認められなくなってしまうのです。これを、精神医学で「二分割思考」といいます。

白か黒か、全か無か、好きか嫌いか、敵か味方かと世界を二分してしまうことは、認知の歪みの一種で、そういう人は容易に精神的に追い詰められてしまいます。

何事も、少ない情報で決めつけをしないほうがいいでしょう。分からないことでも「ああかも知れない」「こうかも知れない」と考えることはできます。分からないことを分からないと認めながら、考えることをやめないということで、前頭葉は鍛えられます。

白か黒かの結論づけを安易にせず、グレーゾーンをつくることは、認知的複雑性を高めます。二分割思考は前頭葉に楽をさせるようなものです。常に稼働させることを意識しましょう。

2.毎日を「実験」にしてみる

ワンパターンから脱却しましょう。いつもは朝日新聞を読んでいたら、あえて『正論』を読んでみる。ウクライナ情勢では、ロシアの立場になって考えてみる。など、いつもと反対のことをしてみるのです。違う情報に触れたり、反論を考えてみたりすることが、前頭葉を刺激することになります。

世の中、いろんな考えかたがあるなぁという風に思うことで、視野も広がりますし、思考にグラデーションが生まれます。人がいうことを素直に信じるより、試してみることです。

前頭葉は新たな発見をいつも求めています。これから高齢者が増えて行く中で、どうやって老後を過ごせばいいのかとよくきかれますが、私は「生きることを実験だと思えばいいですよ」と申し上げることにしています。

あの店、醤油ラーメンはダメでも、塩ラーメンはいけるかも。トッピングを変えてみてもいいかも知れない。食べたことのないメニューに当たりがあるかも知れません。これが実験です。挑戦といってもいいでしょう。

ささやかかも知れませんが、それでも前頭葉を働かせることはできる。すくなくとも、脳が大嫌いな退屈をしなくてすみます。前頭葉を刺激する意欲は、何でも構わないのです。

脳に効く“アウトプットの種類”

3.前頭葉を鍛えたければ、まず歩く

前頭葉に刺激を与えると、脳の血流が増大します。この血流を増やすことで、前頭葉は活性化するのですが、それには運動も欠かせない要素です。

国立長寿医療研究センターの研究では、後期高齢者でも1日90分、週2回の運動プログラムを6カ月行ったところ、認知機能と記憶力が改善し、脳の萎縮も抑えられたということです。

こういった研究結果には「個人差」がつきものなので、ご自分のペースで運動するのがいいかと思います。いずれにしても、前頭葉のために、運動は有用です。私もラーメンを食べ続けるために、まったり歩くくらいの運動は欠かせないと思っています。

4.人とのつながりが脳を若くする

他者とのコミュニケーションは、脳の血流を増やすことが分かっています。孤独は、脳の老化を促進しますし、人を思いやる感情は、前頭葉の重要な役割です。

人とのつながりは、ソーシャルスキルを育みますし、何より人ほど、予想のつかない存在はありません。前頭葉は、不測の事態が起こると、何とかしようとしてフル回転になる部位です。前頭葉がもっとも働く瞬間を大事にしましょう。

和田秀樹『認知症でもひとり暮らし』(明日香出版社)
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5.人に伝えることで脳は鍛えられる

インプットももちろん大事ですが、インプットしたものをただ「再生」するのではなく、加工してアウトプットすることが大事です。

アウトプットするためには、自分の行うことが相手にどんな影響を及ぼすか、発信すべきでないことを抑制できるか、受けとる側の気持ちが想像できるか、的確な言葉で発信できるか、を考える必要があります。この作業が、前頭葉を刺激するのです。

前頭葉を鍛えるために、この5か条を意識して生活してみましょう。早い段階で、効果を感じることができるはずです。

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