製造過程に問題があった「紅麹サプリ」

また、サプリメントによる健康被害は、成分そのものだけでなく、製造過程に問題があって起こることもあるので注意が必要です。

この事実を社会に強く印象づけたのが、2024年に発覚した小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害でした。紅麹サプリメントを摂取した人に腎障害が相次ぎ、死亡例も報告され、大きな社会問題となりました。

その後の調査によると、紅麹サプリメントの製造工程で青カビが混入し、この青カビがコメ由来の培地を栄養源として産生した「プベルル酸」という物質が原料を汚染していたことが明らかになりました。現在では、プベルル酸が健康被害の主要な原因と考えられています。紅麹そのものが問題だったのではなく、製造管理上の偶発的な事故によって、想定外の有害物質が混入したことが本質だったのです。

小林製薬のような国内大手メーカーで、製造工程に由来する大規模な健康被害が起きることは、そう頻繁にあるとは思いません。しかし、海外から個人輸入したダイエット用・強壮用の健康食品から、表示されていない医薬品成分が検出され、健康被害につながった事例はたびたび報告されています。

医薬品にも副作用はあるけれど

もしかしたら「薬にも副作用があるのに」と思われるかもしれません。それは、その通りです。実際、肝障害や腎障害を起こす頻度や重症度は、健康食品より医薬品のほうが大きい場合もあります。それでも医師が必要に応じて医薬品を処方し、健康食品には慎重な姿勢をとるのは、利益とリスクの両方がどこまで分かっているかが大きく違うからです。

ビタミン剤などの陳列棚
写真=iStock.com/TrongNguyen
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医薬品は、臨床試験で有効性と安全性を評価したうえで承認されます。市販後も副作用の報告が集められ、「どのような副作用が、どれくらいの頻度で起こるのか」「腎機能が低下した人では減量が必要か」「どの薬と飲み合わせが悪いのか」といった情報が蓄積され、添付文書にも反映されます。

一方、健康食品の多くは、臨床試験で有効性が確かめられているわけではありません。そもそも、効果があるかどうかもわからないのです。そして、副作用の頻度や他の薬との相互作用についても十分な情報がありません。

つまり、医薬品は「この程度の利益が期待でき、その代わりにこの程度のリスクがある」と見積もったうえで使用できます。一方、健康食品では、利益もリスクも十分に分からないまま摂取していることが少なくないのです。効果が証明された医薬品に副作用があることと、効果がはっきりしない健康食品に未知の副作用があることは、同じ土俵で比べるべきではありません。