「効果」だけがある健康食品はない
肝障害以外にも、健康食品やサプリメントには医薬品と同様に、腎障害をはじめとするさまざまな臓器障害のリスクがあることが報告されています。また、アレルギー反応が起こることもあり、じんましんなどの軽い症状にとどまらず、まれに呼吸困難やショックといった重篤な症状に至ることもあるのです。
もちろん、持病のある人では、健康な人なら問題にならない成分が思わぬ害をもたらすことも。たとえば、腎機能が低下した人がカリウムを多く含む青汁を大量に摂取し、重い高カリウム血症を起こして救急搬送された症例が報告されています。他の薬の作用を強めたり弱めたりする「相互作用」による悪影響が生じることもあります。
そもそも、体に何らかの作用を及ぼすことを期待して摂取する以上、「効果はあるが、副作用はまったくない」と考えるのは無理があるでしょう。作用があるものには、望ましくない作用が生じる可能性もあります。これは医薬品だけでなく、健康食品やサプリメントについても同じです。
治療の妨げになるという多大なリスク
さらに健康食品やサプリメントには、病気治療の妨げになる恐れもあります。
以前、肺がんの患者さんが新しい分子標的薬による治療を開始したところ、白血球数が減少しました。その薬にも白血球減少という副作用はありますが、詳しくお話を聞くと、「活性酸素を除去する」と称する健康食品を飲み始めたことがわかりました。その健康食品には多くの成分が含まれていましたが、それぞれの分量、どのような副作用や薬との相互作用があるのかといった情報は記載されていませんでした。
白血球減少の原因は、分子標的薬かもしれませんし、健康食品かもしれません。両者の相互作用や、まったく別の原因がある可能性も否定できません。そこで患者さんと相談し、分子標的薬と健康食品の両方をいったん中止しました。すると、白血球数が回復したのです。その後、治療に必要な分子標的薬だけを再開したところ、以降は白血球の減少を認めませんでした。
もちろん、この経過だけでは、健康食品が原因だと断定することはできません。しかし、がんへの有効性が証明されていない健康食品を、副作用の危険を冒してまで続ける理由は乏しいと私は考えます。もしもこのときに健康食品の存在に気づけず、白血球減少を分子標的薬のせいにしていたら、どうなっていたでしょう。有効な治療薬を「副作用で使えない」と判断し、薬の減量や中止を余儀なくされ、その間にがんが進行していた恐れがあります。

