突然届く「好条件のお誘い」の罠

50代にはそれまでに培ってきたキャリアがあります。それをどう活かすのがいいか、自分で考えてみるべきです。

小さな会社を作るという選択もあるし、定年後を見据えて、今から少しずつ転職に向けて形を整えていくこともできます。定年後の生き方について、なるべく早くから考えておいた方がいいでしょう。

逆に言えば、第二の人生のスタートが早まるということで、そう考えれば決して悪いことではなく、むしろ前向きなことだと考えましょう。

会社でいわゆる「出世ルート」に乗れなかったとしても、自分は決して仕事ができないわけではない、と感じている人は多いでしょう。実際、組織での昇進は運に左右される面も大きく、出世ルートから外れたことがそのまま能力がないということを意味するわけではありません。

そんな中で、自分の能力を認めてくれる存在が現れるというのは、ちょっとした憧れのようなものでしょう。それがヘッドハンティングです。

過去の仕事仲間やビジネス用のSNSなどを通じて、ある日突然新しい仕事への誘いがかかることは、決して珍しいことではありません。

けれども、それがすべて「いい話」とは限りません。企業が、辞めてほしい社員に対して「罠」として仕掛けることもあるのです。

ヘッドハンティングを装う悪質なケース

会社側が、辞めてほしいもののリストラに応じない社員に対して、外部の調査会社などを通じて「もっといい条件で迎えたい」という声をかけさせます。例えば、給与は高いけれども働きが見合わない社員がいる場合、外部に依頼してヘッドハンティングを装うのです。その誘いに乗って自発的に辞めてくれれば、会社としてはすべて丸く収まるというわけです。

出世ルートを外れた50代社員には、リストラ圧力と偽装ヘッドハンティングの罠が待ち受けている。
写真=iStock.com/Yuto photographer
出世ルートを外れた50代社員には、リストラ圧力と偽装ヘッドハンティングの罠が待ち受けている。※写真はイメージです

甘い話に乗って転職した先で、以前と同等の待遇が保証されているとは限りません。労働条件が厳しかったり、待遇が悪かったりして「話が違う」となることもあります。その結果、短期間で退職することになり、次の行き先も見つからなくなるという人もいます。

これが、定年を前にした50代が直面するリアルな現実なのです。今、50代は最も厳しい立場に置かれているのではないかと思います。

組織の中で、50代はなかなか厄介な存在です。給料は高いけれど、期待されているほどには働けない。若い世代に比べると、パソコンを十分に使いこなせない。経営サイドから見たら、それなら、50代の社員に1人辞めてもらって、20代を2人雇った方が、人件費も抑えられるし、戦力になると思う。すでに、60歳の定年まで安定して働き続けられるとは限らない時代なのです。