意識を「呼吸」にフォーカスすると…

もう一つ、この呼吸法には大きな利点があります。それは、「意識の向き」が変わることです。ネガティブな考えが止まらないとき、意識は頭の中に閉じ込められています。「どうしよう」「また失敗するかもしれない」と、同じ場所を堂々巡りしています。

そういうときは、思い切って意識のフォーカスをずらすことが大切です。

3秒吸って、6秒吐く。4秒吸って、8秒吐く。数を数え、吐く息の長さに意識を向けると、頭の中を堂々巡りしていた思考から、いったん距離を取ることができるのです。

1:2の呼吸法は、朝や寝る前などの習慣にしてもよいのですが、いつでもどこでも実践できます。会議の前、苦手な人に会う前、怒りを感じたとき。人前で大きく深呼吸をするのが難しい場面であっても、口をすぼめて静かに長く吐くだけなら、自然に取り入れられます。

ちなみに、心に余裕があるときの呼吸数は1分間に15〜20回程度ですが、緊張しているときは20回以上に増えます。年齢によっても異なりますが、「呼吸が速くなっていないか」をチェックする一つの目安にしてください。

「ソファに倒れ込む」は休息になる?

一日の仕事を終えて家に帰ったら、できるだけ早く休みたい。そう思うのは自然なことです。靴を脱いだ瞬間にソファに倒れ込み、そのままスマートフォンを見たり、テレビをつけたりして、しばらく動けなくなる。それが日課になっている人も多いでしょう。

ソファで休んでいる人
写真=iStock.com/marchmeena29
※写真はイメージです

しかし、体を休ませることと、いきなり動きを止めることは、同じではありません。

外で仕事をしている間、体は活動モードに入っています。交感神経が働き、頭も体も緊張し、周囲の刺激にすぐさま反応できる状態になっています。そこから家に帰った瞬間、急に何もしない状態へ落ち込むと、自律神経の切り替えがうまくいかないことがあります。

車でいえば、高速道路を走っていた車を、いきなり急停止させるようなものです。急に止まると、体は休息モードに入ったように見えても、体内ではまだ緊張状態が続いています。頭は仕事のことを考え続け、肩や首には力が入り、呼吸も浅いままです。その状態でソファに座り込むと、「安静にしているのに休まらない」ということが起こるのです。