食品廃棄物でつくる「ほぼゼロ円の家」も

インスタントハウスよりももっと手軽に、スピーディーに作ることができる「家」のアイデアも実現に近づいている。これは、被災地はもちろん、難民キャンプなどでの使用を想定したもので、なにかしらの理由で食べられなくなった米や小麦などの食品廃棄物と使われなくなった布、服などを使用する。

「アジアの主食は米で、欧米は小麦やジャガイモです。共通するのはデンプンで、水を混ぜて捏ねるとデンプン糊になります。空気膜を膨らませて家の形にしたものに、デンプン糊で布地を貼り付けると、強くて快適な家になるとわかりました。名古屋でもう実験を終えて、特許出願中です。これはもうほぼゼロ円で、子どもでも作れるんですよ。いま世界では難民が増え続けています。難民の子どもたちがこの家づくりを生業にできたら、難民の子どもたちが本当の意味で自立できてより良い世界になると思って」

このゼロ円ハウスは「ホーム for ホームレス」というプロジェクトとして、以前から親交のあるフィリピンでスラムの子どもたちと一緒に進めていくことが決まっている。

ゼロ円ハウスの「ホーム for ホームレス」のミニチュアを手に、説明する名古屋工業大学教授の北川啓介さん
筆者撮影
インスタントハウスのファンからもらったという「かぶるインスタントハウスまくら」

さらに、日本のお菓子メーカーとコラボして、スナック菓子の残渣を断熱材に使った「家」の開発も手掛けているという。自由な発想から生まれるその知見もまた、大規模な災害が起きた時に活かされるのだろう。

寄付集めに奔走しながら、被災地に

こうして未来を見据えた活動を続けながら、北川さんは今日も熊本の被災地を駆け巡っている。施工現場で自らスコップを握って作業を手伝っていたかと思えば、役所との打ち合わせに出向き、「200棟を届けるにはぜんぜん足りない」という寄付を集めるために、すべての取材依頼に応えている。

その多忙さのなかでも被災者に出会えれば親身なって話を聞き、最後に必ず「一緒に頑張りましょう。お大事になさってください」と言って見送っていた。タイの難民キャンプで購入した「風通しがよくて、お気に入り」だという帽子をかぶり、娘からもらったという日焼け止めで顔を真っ白にしながら。

名古屋工業大学の寄付サイトから、インスタントハウス設置の寄付ができる。熊本地震での設置希望者数を満たすためには、まだまだ寄付が足りないとのこと。

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