習近平にすり寄っても防げなかった破綻
工事が止まったからといって、支払いが免除されるわけでもない。中国では建物の完成前から住宅ローンの返済が始まり、その資金が建設費に充てられる仕組みだ。引き渡されていない家のローンの支払いを拒む動きは、米ニュース誌のタイムが2022年7月の時点ですでに、中国31省のうち24省、235件の住宅開発プロジェクトに広がっていると報じている。
不動産をめぐる混乱は泥沼化しており、恒大の許家印氏はついに当局に拘束されるに至った。
1996年に広州で恒大を創業した許家印氏は、借入金を元手に、280都市で1300件を超える開発を手がける最大手の座に就いた。事業が大きくなるにつれ、政治との距離も縮まっていく。タイムによれば、共産党員としての党歴は30年を超える。
習近平国家主席とは、サッカー好きという共通点がある。それをアピールするために、サッカーチームの広州FCを丸ごと買収した。2021年、習近平氏が天安門広場で共産党創立100周年を祝ったとき、広場を見下ろす場所に許氏はいた。
だが、政治の中枢に近づいても、恒大のデフォルトは避けられなかった。恒大株が暴落し、会社の流動性を支えようと私財を投じたことで、個人資産は2020年7月の398億ドル(約6兆3400億円)から、2023年8月には17億ドル(約2710億円)へと減少。96%が消えた。
過去最大、13兆円の粉飾決算
破綻の後、恒大の帳簿が精査され、数々の虚偽が明るみに出る。2024年3月、中国証券監督管理委員会は、中核子会社の恒大地産が売上高を架空計上していたと認定した。CNNによれば、2019年と2020年の2年間で、水増しの総額は5641億元(約13兆3000億円)。中国本土の証券市場で過去最大の粉飾決算である。
中国証券監督管理委員会は恒大地産に41億7500万元(約985億円)の罰金を科し、許氏個人にも4700万元(約11億1000万円)の罰金と証券市場からの生涯追放を言い渡した。
許氏は2023年9月に拘束された。ワシントン・ポストが報じたように、今年4月の公判で、無許可で一般から資金を集めた罪や詐欺、法人による贈賄などを認めている。
不動産市場をめぐる混乱を、中国の中央政府はどう処理しているのか。
政府がまず手をつけたのは、市場をめぐる言論統制だった。ニューヨーク・タイムズは、中国当局が最近、不動産市場の先行きを悲観するネット上の投稿の検閲を始めたと指摘する。落ち込みに底が見えないからだ。中国国家統計局が2026年1月に公表した統計によると、新築住宅の販売は15年以上ぶりの低水準まで冷え込んだ。
しかし、その場しのぎの対応では、問題が消え去るわけではない。海花島の大部分は今、対岸の儋州市の政府が管理しているが、市政府は島の扱いを決めかねている。
ニューヨーク・タイムズの取材に、島を訪れた儋州の住民は、「ここは死んだ場所だ」と語った。島に何人が暮らしているのかも、はっきりしない。売り出しの初期に物件を購入した数千人がいることは分かっているが、恒大が当初見込んだ最大20万人には、遠く届かない。

