恥をかけなくなったとき、人は固まり始める

身体の変化、仕事の変化、新しいテクノロジー、若い世代との価値観の違い。

人生後半には、これまでのやり方がそのまま通用しない場面が増えていく。

どれだけ経験があっても、認知的柔軟性が落ちると、人は固まる。

昔のやり方を絶対視する。新しい技術を理解せずに否定する。若い人の考え方を聞かない。

これが、いわゆる「頑固な老人」なのだと思う。

人生後半で守るべきなのは、過去の正しさではない。

自分をアップデートする力である。

ある年齢を過ぎると、人は間違いを指摘されにくくなる。

若い頃は、上司に怒られた。先生に直された。先輩に注意された。お客さんに鍛えられた。自分が間違っていれば、誰かが教えてくれた。

でも、年齢を重ねるとそうはいかない。肩書きがある。実績がある。年齢が上である。周囲も気を遣う。本当は違うと思っていても、正面からは言われない。

「それは違いますよ」と言ってくれる人が、少しずつ減っていく。

これは、かなり危険だ。注意されないことは、一見ラクに思えるからだ。恥をかかなくていい。自分の得意な場所にだけいれば、傷つかずにすむ。

でも、その快適さが人を固めていく。

白衣を着た日本の中年男性
写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi
※写真はイメージです

では、どうすればいいのか

人は、恥をかいたときに少し動く。できない自分を見たときに、修正する。恥をかく機会がなくなると、自分をアップデートするきっかけも減っていく。

だから人生後半では、あえて恥をかける場所を持ったほうがいい。

分野は何でもいい。大事なのは、肩書きが通用しない場所に行くことだ。できなければ、できない。間違っていれば、直される。これは気持ちのいいことばかりではない。正直、恥ずかしいし、面倒でもある。自分のプライドが少し揺れることもある。

本田直之『セカンドハーフ戦略 人生後半戦、何を捨て、何を始めるか』(KADOKAWA)
本田直之『セカンドハーフ戦略 人生後半戦、何を捨て、何を始めるか』(KADOKAWA)

それでも、そういう場所が一つあるだけで、人は固まりにくくなる。

大人になるほど、得意なことだけを選べるようになる。間違いを指摘されない立場にもなれる。

それは一見、成功のように思える。でも、そこにだけいると、教わる機会がなくなる。知らない世界に驚く機会がなくなる。自分のやり方を変えるきっかけもなくなる。

恥をかける場所を持っている人は、年齢を重ねても固まりにくい。

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