「日常の小さな違和感を大切にしてみましょう。それが新たな発見につながり、結果的に、人生や社会を変えるきっかけになるかもしれません」
そう語るのは、本書を上梓した明治大学教授の宮下芳明氏だ。2023年には、電気味覚の研究でイグ・ノーベル賞(栄養学)を受賞した。その成果はキリンホールディングスとの共同研究に生かされ「エレキソルト スプーン」が発売された。減塩食品の塩味とうまみを増強してくれる食器として注目されている。
本書の「フロンティア」という言葉は、未知の領域へ踏み込むことを意味する。宮下氏は、日常の小さな気づきから新たな可能性を探る手法を「フロンティア思考」と呼んでいる。問題解決能力だけでなく、問題を発見する能力こそが重要というわけだ。「エレキソルト スプーン」の開発にもフロンティア思考が生かされている。
「湿気ったフライドポテトを食べたとき、『あれ? いつもより塩味が薄いな?』と感じたことがある人は多いでしょう」
塩は気化しないので、ポテトの中に浸透しているだけ。塩分量は同じなのに、なぜ味の感じ方が違うのかといえば、結局、塩がどれだけ舌に触れるかなのだ。それなら、薄味の減塩食でも、電気の力で塩を舌に引き寄せれば美味しく感じるのではないか?――このように、日常にある違和感や問題意識が「エレキソルトスプーン」の発明につながった。
「フロンティア思考は、単なる問題解決スキルではなく、日常の中で新たな可能性を見つけていく考え方です。商品開発や発明だけでなく、人生という問題にも役立ちます」と宮下氏は力説する。
「どれだけ豊富な経験を積んでいても、人生には答えが決まっていない問題が次々と現れます。
仕事のキャリア設計、家族のライフプラン、セカンドキャリアの選択――。これらの問題を前向きに捉え、柔軟に考えることができれば人生は変わります。これまでの枠を超えた可能性を見出し、自分にとって最良の道を、自ら選べるようになるからです。
新たな挑戦、学び直し、趣味の深掘り、社会貢献――フロンティア思考の視点を持てば、50代以降のキャリアや生き方も、自分らしく切り拓けるようになるはずです」
タイトルで「13歳から」と書かれているとおり、本書の内容は読者の年齢を問わない。未知への一歩を踏み出すきっかけとして、本書は新たな視点と勇気を読者に与えてくれるはずだ。
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