テレビ東京の報道番組「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターを務める豊島晋作氏。ニュースを担当するアナウンサーが、記者やディレクターが書いた原稿を読み伝えることが多いのに対し、報道記者出身の豊島氏は自分の言葉で伝えることに信念を持つ。

「私が知る限り、欧米にはアナウンサーという仕事はありません。欧米のニュースキャスターは情報を自分の言葉で伝えることに重心があるのです」

豊島 晋作『不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質(日経BP)
豊島 晋作『不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質(日経BP)

現在はWBSキャスターのほかに、「テレ東BIZ」などYouTubeのニュース解説動画を担当し、総再生回数は2億回を突破。自分の言葉で話すことのスペシャリストである豊島氏のノウハウを詰め込んだのが本書である。

「どんな仕事であっても、『伝えること』抜きでは成り立ちません。私自身、伝え方をミスした経験は数えきれません。失敗を重ねて満身創痍になりました。コミュニケーションについて、自分が20代のころに知っておきたかったことを書きました」

もともと話し下手で自己肯定感は低めと語る。

「若いころは卑屈だった部分もあり、『俺の言うことなんか誰も聞いていないだろう』と思っていました。伝わらないのが当然だと思うからこそ、工夫してしゃべるようになったのかもしれません」

本書には自力でつかみとった話し方のコツを、余すところなく詰め込んだ。なかでも、話し方がうまくなる一番の早道は「話している自分の姿をスマホで撮って見返すこと」と強く推す。

「自分の話している姿勢から笑い方まで、確認したことがない人が大半だと思います。動画に撮れば、他人からどう見えているのかを一発で確認できます。私は仕事柄、自分が映る動画を自分で編集してきました。だからこそ、自省して改善してきました。今はスマホがあるし、自分の姿やしゃべる様子を撮る、撮らないで大きく差が出ます」

ほかの話し方の本と一線を画すのは、建前を排除した感情表現を肯定していることだ。

「明らかな不正義が行われているとき、それに怒りを表明しないのは、誠実な生き方とは言えない。これまでの取材を通して実感したのは、政治もビジネスも結局“人として魅力的か”が非常に重要ということです」

(インタビュー・文=長山清子)

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