注目すべきは、運動については従来考えられていたよりも、もっと簡単な方法で成長ホルモンを増やせることが明らかになったことです。
筋肉に負荷をかけて行う、「やや強度の高い筋肉運動」によって成長ホルモンの分泌量が増やせるというのです。具体的には1分間の脈拍が150以上になるような運動です。
なぜ、「やや強めの筋肉運動」が成長ホルモンの分泌を促すのでしょうか。
成長ホルモンの分泌を司っているのは脳の中心部にある視床下部です。視床下部から下垂体前葉に身体の各器官に必要なホルモンを分泌するよう命令が出されるのです。
一方、視床下部は自律神経とも深く関わっています。
自律神経は内臓や血管などの働きを支配する神経で環境や身体の状態の変化に応じて、体内の調整をする働きをしています。人間の身体は常に一定の状態に維持されるよう「ホメオスターシス(恒常性の維持)」という働きがあり、自律神経はこのホメオスターシスに深く関わっています。
運動をして体温の上昇が起こったり、脈や呼吸が速くなったり、発汗が促されるなどの変化が起こってホメオスターシスに乱れが起こると、その乱れは自律神経を介し視床下部に伝えられます。視床下部から下垂体前葉に働きかけがなされると、ホメオスターシスの乱れを治すよう指令が出るのですが、その際に、なんと成長ホルモンの分泌が行われることが明らかになったのです。
つまり成長期はとっくに過ぎた中高年の人でも、やや強めの筋肉運動を行うことで成長ホルモンの分泌が促され、老化の速度が遅くなり、若返りの効果が生じるのです。
そこで手軽にできる「若返り運動」をご紹介しましょう。それは、膝を腰骨の高さまで上げる「太もも上げ」運動。これを1日30秒行うだけでいいのです。
※本連載は『太ももを強くすると「太らない」「超健康」になる』(宮崎義憲 著)からの抜粋です。