両極意見「46%」対「13%」の濃淡現象

社会調査による意見分布は正規分布(山の形をした分布)に近い形になっている一方で、SNSの意見分布は逆の傾向を示しています。社会調査における世論では最も少ない「非常に賛成である」と「絶対に反対である」が多数派を形成しており、この二つで46%を占めます。しかしこの二つの意見を持った層は、社会調査の結果では13%を占めるのみです。

さらに、筆者が2022年に実施したオンライン調査の結果から、自民党への感情別のXへの投稿状況(政治的・社会的出来事に関する投稿)を図表2に示します。

※棒グラフにかかっている傍線は「エラーバー」と呼ばれるもので、データが全量ではなくサンプルであることに伴う「誤差の範囲」を示します。

やはり非確率サンプルであることと、Xへの投稿が自己申告であり測定誤差があるという制約はあります。それを踏まえたうえでご覧いただきたいのですが、やはり緩やかにU字になっています。

自民党に対してポジティブであるにせよネガティブであるにせよ強い感情を持っている人が投稿をしがちであることが示唆されます。

“濃い民意”を持つ人がする行為

また、政治的態度とX投稿(政治的・社会的出来事に関する投稿)の関係を分析したのが図表3です。リベラル度上位10.5%のグループ、リベラル度が下位11.1%のグループ、及び平均的なスコアのグループを作成し、ポストを行った人の割合を比較しました。

その結果、リベラル度上位のグループは13.0%、リベラル度下位のグループは13.2%の人がポストを行っていたのに対して、平均的なスコアのグループは6.9%の人がポストを行っていたのみでした。先ほどと同様、この結果からも強い思いを持った人がポストを行っていることがうかがえます。

以上のように、「ネット世論」と呼ばれるものがあるとすれば、それはセレクションバイアス(*3)が働いた強い意見の集合体であるということになります。

*3 セレクションバイアス(selection bias)とは、調査や分析に入ってくる人・データがランダムではなく偏って選ばれることで、結果がゆがむことを指します。