『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が8月24日までの累計で動員766万人、興収110億円を突破。映画業界に詳しいライターの武井保之さんは「配給の東宝にとっては大きな収穫。『ちいかわ』の続編が発表されれば、夏休みの定番アニメにもなりえる」という――。
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
画像=TVerプレスリリースより Ⓒナガノ/2026「映画ちいかわ」製作委員会

『トイ・ストーリー5』を超えるハイペース

夏休み映画の話題を独占中の『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が、7月24日の封切りから30日間で興行収入100億円を突破したことが発表された。

今夏No.1ヒット作『トイ・ストーリー5』(7月3日公開)の100億円到達までの34日間を上回るハイペース。一方、これまでにも興行推移が比較されてきた『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』(4月10日公開)の公開27日間(108億8000万円)よりはわずかに落ちるが、ほぼ同ペースで数字を伸ばしている。

それぞれの現在の興収は、『トイ・ストーリー5』が公開8週目の8月23日時点で121億円。『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』は7月時点で135億円を超えている。

100億円までの推移からは、『ちいかわ』の最終興収は『トイ・ストーリー5』を超え、『名探偵コナン』にどこまで迫るかがひとつの焦点になりそうだが、興行の内情を見ると、そんなに簡単ではない。

映画館の掲示ポスター
撮影=プレジデントオンライン編集部

最終的に“コナン超え”もありえる?

『ちいかわ』が夏映画No.1の座を『トイ・ストーリー5』に取って代わるかは、まだまったくわからない。封切り当初は、作品性の話題が異例の規模で拡散し、世間を大きくざわつかせた。しかし、瞬発力は高かったものの、すでにコアファンを除いた一般層への人気拡大はひと段落した感がある。現状の推移を見ると、記録的ヒットとなった昨年の劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座あかざ再来』(403億6000万円)にはまず届かない。

では、『ちいかわ』は『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』を超えるのか。それには、これからの“カギ”になるポイントがあり、どちらに転ぶかは不透明。今ひとつだけ言えるのは、上回るポテンシャルは高いということだ。

「推してくれるファンが熱心」という共通点

興行推移が比較される『ちいかわ』と『名探偵コナン』には、ファンダムの構成に共通点がある。

原作が『週刊少年サンデー』(小学館)連載の少年漫画である『名探偵コナン』は、その内容もキャラクタービジュアルも、子ども向けのファミリー層をターゲットにした作品だ。しかし、その劇場版は、物語の骨子になる本格的なサスペンスミステリー要素と、毎回のど派手なアクションシーンが話題になり、子どもの頃から読者だった大人たちのほか、現代の若い世代にもじわじわとファン層を拡大した。