「あきらめのよさがぼくの長所」
のび太にとって、学校のない世界は憧れ。そんな大昔の世界に行ってみたくて、ある日「タイムマシン」に乗りました。「タイムマシン」から降りると、空気の味までが違っているような気がしました。気分は最高のようです!
まだ何もない景色を見回して、やがて学校が建つ場所などを確認しました。そして、いつも見なれた川へ行ってみると、現代と違ってたくさんの魚が泳いでいます。のび太は、その魚を捕ろうとするのですが、なかなか上手くいきません。
「しかし……。魚がいるということと、つかまえることとは別問題だね」
そんな言い訳っぽいことを思いながら悪戦苦闘していると、ザバッと川の中ですべってしまいます。グッタリとして岸に上がると、のび太は大昔の世界にいることがいやになり、帰ることにしました。
「あきらめのいいところがぼくの長所なんだ」
「タイムマシン」の入り口で、のび太はこう自己分析してみせました。
『てんとう虫コミックス ドラえもん 第30巻』小学館 15話目「昔はよかった」
一つのことをあきらめることで「何もかもがダメだ~」とばかりにすべての自信を失い、何もしなくなっては問題ですが、のび太のように次から次へと新しい興味が湧いてくるなら、それもよしでしょう。そうこうしているうちに、自分が力を発揮できるものも見つかるでしょう。だから、飽きっぽく感じる性格も、まんざら悪いものではありません。
「投げ出しているんじゃなくて、あきらめがいいんだ!」
自分のことも、もしお子さんがいれば子どものことも、そんなふうに見ていくと気がラクになりますよ。
のび太は物事に対して、きわめて淡泊なところがあります。あまり深く考えたり、長く時間をかけたりということが苦手なのです。もし、のび太が会社にいたら、「すぐに投げ出すな。根気のないヤツだな」などと、年中、上司に叱られることでしょう。
でも、のび太のこうした資質は、決して悪い面ばかりではありません。淡泊だからこそ、深刻に思い悩み、自分を追いつめるようなことをせずに済むこともあります。また、ダメなところにいつまでも執着しないで、新しい課題に次から次へとチャレンジすることにもつながるかもしれません。
のび太の言うとおり、あきらめがいいのは、ときには長所となるのです。

