毎日を機嫌よく過ごすには、どうすればいいのか。ドラえもんを研究する富山大学名誉教授の横山泰行さんは「私たちはくよくよと思い悩み、うまくいかないことに執着してしまう。ところが、のび太は違う。その姿には、心を軽くするヒントが隠れている」という――。(第3回)

※本稿は、横山泰行『ポケット版「のび太」が教えてくれたこと』(アスコム)の一部を再編集したものです。

丸眼鏡
写真=iStock.com/Room_76_Photography
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「落ち込んでも引きずらない」のび太の立ち直り方

私たちの悪いクセの一つに、くよくよ思い悩むというのがあります。なかでも、疑心暗鬼になって根拠もないことをあれこれ考えるのは最悪。「ママ友の○○さんは、私のことをみんなに悪く言っているに違いない」なんて考え出したら最後。悪いことしか想像できなくなってしまいます。自分がつらいのはもちろんのこと、周囲もうんざりして本当に離れていってしまうかもしれません。

のび太もしょっちゅう、勝手に落ち込んではみんなに迷惑をかけています。でも、のび太のいいところは、立ち直りも早いところ。いくら落ち込んでも、それをいつまでも引きずらないのです。落ち込んだり立ち直ったりの繰り返しこそ、のび太の成長材料かもしれません。ドラえもんには、こんなエピソードがあります。

なにかにつけ自信を持てずにいるのび太は、学校でも登下校時でも、いつもみんなに笑われているような気がしてなりません。

ある日、そんなグチを聞かされたドラえもんは、そういうのび太のひがみっぽいところは嫌いだと言うものの、肩を叩きながら励ましもします。

「きみがいちばん悪いのは自分がだめだと思い込んでるとこだ。自信を持て‼ 自信を。そしたらなんでもきっとうまくいくよ」

それでも、のび太はドラえもんに背を向け、肩を落として神妙に語ります。

「自信なんか持てるわけないや。ほんとにダメなんだもん」

そんなのび太を見て、ドラえもんは、ひみつ道具の「自信ヘルメット」を取り出しました。「自信ヘルメット」は「人の言っていることが、自分に都合よく聞こえる。世界が自分のためにあるような気がする」という変わった道具です。のび太にこれをかぶせたドラえもんは、ダイヤルを「強」に合わせました。

「気分はどう? ひがみやのメソメソくん」

ドラえもんの嫌味な言葉さえ、都合よく聞こえている様子ののび太。

「いやあ、そんなにほめられるとてれるなあ」と明るい笑顔で答えたのです。

てんとう虫コミックススペシャル ドラえもんカラー作品集 第5巻』小学館 第15話目「自信ヘルメット」

なんでも都合よく解釈すればいい

こんな態度を、「おめでたいヤツ」などと私たちは表現しますが、これこそ究極の幸せの道ではないでしょうか。物事をいい方向にとらえて、自分が気分よくいられるのなら、それで万々歳。自分の心の持ち方については、誰に遠慮することもありませんよね。

あなただって、ちょっとしたことで落ち込んだら最後、いちいち物事を悪い方向に考えてしまって、なかなか気分を立て直せないことがあるでしょう。そんなときは、のび太のこのエピソードを思い出して、なんでも都合よく考えてしまいましょう。