北朝鮮兵と手を組むことに

アフマットに入隊して2カ月弱、2024年6月19日のことだ。ロシアに大きなニュースが入ってきた。プーチン大統領が北朝鮮に電撃訪問。金正恩総書記と首脳会談を行ったという。ロシアのトップが北朝鮮を訪問するのは実に24年ぶりで、「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだと言われている。

訪朝から数日後、軍の内部ではさまざまな情報が駆け巡った。要約すると以下の内容だった。

「最大25万人の兵士をロシアに派遣すると、北朝鮮から約束を取り付けた。北朝鮮兵は北部軍管区に派兵する。北朝鮮の軍事工場がロシアの防衛産業のために稼働する。対してロシアは音速ミサイルの技術供与と、北朝鮮が他国と不測の事態に陥った場合はロシアが核の傘で北朝鮮を守ることを約束した」

北部軍管区とは対ウクライナ戦線を指す。その後、実際に派兵された北朝鮮兵はロシア領内の防衛活動の一端を担った。

こうした情報に接した国防省に33年勤務していた仲間は、感慨深げにこんなエピソードも披露した。

「俺は若い頃、北朝鮮の応援のために北緯38度線の国境に派兵されたんだ。あれ以来になる。連携は上手くいくだろう」

アフマットで流れていた情報は、かなり確度が高かった。その後、北朝鮮兵が実際に派兵され、彼らの訓練や日々の生活を僕は間近で見てきたからだ。

北朝鮮の国旗に向かって敬礼する手のジェスチャーをする秘密諜報員
写真=iStock.com/Dragos Condrea
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約5割の兵士がドローンに殺される

現代戦はドローンの登場によって戦争を新たなフェーズに押し上げている。ドローンに搭載された赤外線や暗視カメラ、光学式ズームの進化は凄まじい。潜んでいる敵を見つけると「カミカゼ」と呼ばれるドローンが突っ込んでくる。

頭上から爆弾を落とす投擲ドローンも無数に飛んでいる。最前線はまさに地獄絵図だ。突撃部隊は白兵戦にたどり着く前に、ドローン攻撃や迫撃砲などで5割の兵士が殺傷される。一緒に戦った仲間たちも次々と死んでいった。

2024年7月中旬、ついに戦場への出撃命令が下った。前々から最前線での戦闘を希望しており、司令官もようやく受諾したようだ。

アフマットに所属して初めての戦場。詳しくは明かせないが、ルガンスクの片田舎だった。逃げたウクライナ人の民家を活動拠点にして最前線に向かう。庭で堂々とマリファナを栽培している民家もあるぐらい、普段はよそ者が訪れない田舎町である。ライフライン機能は完全にストップしていた。電線から盗電する作業も兵士らで行い、水も支給されたわずかな量しかなかった。

最前線でアフマットとウクライナ軍は、互いに「ブリンダッシュ」を設け、300mの距離を隔てて数百名の兵士が睨み合っていた。