継続的に活動できる土台はすでに整っている
東シナ海を取り巻く環境は南シナ海とは異なる。日本が尖閣諸島を実効支配し、日米同盟も抑止力として機能している。中国が大規模な軍事行動を起こせば、日本との衝突だけでなく米国との対立へ発展する危険も伴う。南シナ海と同じような速度や規模で施策を展開するのは容易ではない。
だからこそ東シナ海においては、平時に実施できる施策の継続が重要になる。ガス田開発事業は、エネルギー資源の確保のみならず、この意味においても大きな役割を担っている。
前述の通り、今回の掘削船は追加で投入され、既存の海洋施設や掘削設備と連携しながら運用されるとみられる。設備を維持し、必要に応じて船舶を入れ替えながら事業を続けるには、人員、資機材、補給、保守などを継続的に支える体制が必要だ。今回の一件は、その体制がすでに構築され、実際に機能していることを示している。
東シナ海でのガス田開発が途切れることなく続けば、海警船による巡視、海洋調査なども展開され、中国企業や行政機関が同海域で活動する機会は増える。軍事衝突の危険を抑えながら、平時の運用実績を蓄積することで、海域でのプレゼンスは高まっていく。これこそが中国の狙いだ。
全体像の把握に努めなければならない
日本政府は今回、中国側へ抗議した。外交上、適切な対応である。その上で、日本が継続的に把握すべきなのは、中国の海洋政策がどのような方向へ進んでいるかという点だ。
例えば、中国海警局の船舶はどの海域で航行日数を増やしているのか。海洋調査はどこまで範囲を広げているのか。資源開発関連船舶は、どの海域でどれだけの期間展開しているのか。
こうした変化を継続して観察しつつ、一つ一つの出来事を相互に関連付けながら分析する視点が欠かせない。資源開発、海洋調査、海警船の運用、中国軍機や中国海軍艦艇の動向を総合的に捉えることで、中国が重点を置く海域や政策の優先順位を読み取れる。
今年に入ってから、中国側が東シナ海に新たな構造物を設置する動きはすでに2度確認されている。ペースを上げて進むガス田開発に慣れてしまうことなく、注視し続けなければならない。

