店舗で見かける「うぬぼれ」の正体
もう一つは、私の理念や信念を言葉にしたことです。それまで私が飲みの席なんかで社員に語っていた思いを、ある店長が「社長、それを文章にしてくださいよ。そのほうがスタッフにも落とし込みやすいですから」と言ってくれたんです。それがきっかけで生まれたのが、「うぬぼれ」という企業理念でした。
【うぬぼれ】
たかが焼鳥屋で世の中を変えたいのです
心を込めて焼いた焼鳥
その焼鳥をまごころ込めた笑顔で お客様に提供していきたい
焼鳥を食べられたお客様の幸せそうな顔
帰りがけに「おいしかったよ」とあたたかい一言
「ありがとうございます」と感謝の気持ち
お客様のその顔、その一言が 私たちの喜びなのです
そんな心と心のふれあいで 世の中を明るくしていきたい
たかが焼鳥屋 されど焼鳥屋
そんなうぬぼれを 私たちは永遠に持ち続けていきます
「うぬぼれ」は、自分が現場で体感した経験から来た言葉です。お客様が焼鳥を囲んで楽しそうにしている姿を見ていると、みんな本当に幸せそうなんですよね。明るい表情でね。そこから、「世の中を明るくしていきたい」というキーワードが自然に出てきました。言い換えれば、お客様に幸せになってもらいたいなと……。鳥貴族がどんどん出店することで、幸せを広げていきたいと思ったんです。
「水商売」と見下された悔しい過去
――「たかが焼鳥屋、されど焼鳥屋」という言葉があります。「たかが焼鳥」ってちょっと自虐的だなと感じるのですが、なぜそんな言い方をされているんでしょうか。
【大倉】「たかが焼鳥屋」という見られ方をされてきたからです。創業したころは、焼鳥屋は「水商売」と言われることが多かった。物件を貸してほしいと不動産屋に頼んでも、「すみません。家主さんが水商売はダメと言ってる」と断られたこともあります。
さきほどお話しした通り、うちの専務、常務はアルバイトからうちに入ってくれたけど、それ以外にも、「大倉社長についていきたい」と言ってくれた方がいたんです。でも、ご両親に100%反対されました。「なんで大学まで行って焼鳥屋やねん、水商売やねん」と。そういったいろんな思いがあの言葉には詰まっています。「たかが焼鳥屋だけれど、されど焼鳥屋ですよ」と。当時は、そんな悔しい想いを抱えていたスタッフも多かったんです。

