「現業職」に大卒人材が流入

それでは、なぜ日本大学からの採用が目立つのか。

日大はもともと、現業系への就職に強い大学として知られてきた。就職実績の上位として、警察官や地方公務員は就職者数No.1常連校であり、社会インフラを支える民間企業・公務員就職者などのエッセンシャルワーカーを広く安定的に輩出している。特に警察官の就職実績においては、長年にわたり国士舘大学と激しいトップ争いを繰り広げており、全国1位・2位の常連校として圧倒的な実績を誇っている。日大は、現場志向のキャリアに強みを持つ。

危機管理学部などが入る日本大学の三軒茶屋キャンパス
写真=時事通信フォト
危機管理学部などが入る日本大学の三軒茶屋キャンパス=2024年12月11日、東京都世田谷区

こうした大学の志向は、鉄道会社の採用構造と極めて相性が良い。JRではかつて高卒中心だった現業職に大卒人材が流入し始めている。JR東海では、職種別の採用区分が明確となっている。いわゆる現場での仕事が中心の「プロフェッショナル職」は、もともと「短大・専門学校・高校卒」の割合が高かったが、2020年代に入り「大学・大学院・高専卒」が6割を超える年度も多くなっている。

この流れは、JR東日本でも同様だ。同社は現業職として年間1000人規模の高卒者採用が行われてきたが、2000年代以降は大卒者も現業職新卒採用の対象に含めるようになった。これ以降、主に高卒者が担ってきた現場オペレーション層に大卒者が多く入り込むようになった。

「マンモス大学」が有利なワケ

では、その大卒人材の中身はどうなっているのか。ここで日大の強みが浮き彫りになる。

就職者データによると、日大からJR東海への就職者は、工学部・理工学部・生産工学部の3学部出身者が多いとみられる。鉄道・設備・運行といった業務は、依然として技術的素養を前提としており、理工系人材との親和性が高いためだろう。

ここで重要なのは、JRが「特定の大学」から採用しているわけではないという点である。

筆者の取材に対し、JR東海の担当者は「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献するという当社の使命を理解し、現状に安住することなく、改善や飛躍に向けて主体的にチャレンジできる人、チームワークや一体感を大切にできる人など、当社の業務に適正のある人材を人物本位で引き続き採用して参ります」とコメントしている。

また、JR東日本も2020年時点で200校以上から採用を行っており、採用母集団は極めて広い。これは、少数精鋭を選抜するモデルではなく、幅広い大学から必要な人材を確保する分散型採用を意味する。この流れでは、日大のようなマンモス大学は圧倒的に有利だ。