基本的な人権保障のない“人間以上”の存在

もっとも、この点については、かつて、一部には、被告にはならないが原告にはなれる、あるいは原告になるのは不適切だが国が代位して訴えることはできる、などの折衷的な考え方もあった。

しかし、原告と被告で当事者能力を分けて考えることには根拠が乏しいし、その点をあいまいにしたまま代位を認めるのも疑問である。法理論としては弱く、いささかご都合主義的な考え方であるのは否めない。

そして、これは、実をいえば、裁判を受ける権利(憲法32条)だけの問題ではない。裁判に関しては、たまたま前記のような事件の判例が出たことから法学者の注目を集めたわけだが、どうも、天皇および皇族については、選挙権を否定することを含め、各種の基本的人権に大きな制約があるとするのが、政府ないしは皇族にかかわる実務における一般的な見解のようなのである(選挙権の行使を「自制することが望ましい」というのならまだわかるが、「否定する」となると、法学者としては大きな疑問を感じるところだ)。