子どもには、子どもの育ちたい形がある

ここで、私が大切にしている考え方を一つお伝えしたいと思います。

私の恩師の庭に、もみの木がありました。

きれいな三角の形に育っていたその木の先端を、庭師が切ってしまったのです。 ところが、しばらくすると、切られた横の枝がすっと上へ伸びて、またもとの美しい形に戻ったそうです。

恩師はそれを見て「生きているものには、自分がどう育ちたいか、という意思がちゃんと息づいているんだな」と思ったとよく語ってくれました。

子どもも、私たちもこれと同じです。

誰もが外から無理に形を与えなくても、内側から「自分はこう育ちたい」と伸びていく力を持っているのです。

ピンクのランドセルを背負った女の子
写真=iStock.com/anurakpong
※写真はイメージです

大人から見ると、子どもは遠回りしているように見えたり、思うように育っていないように見えたりすることがあるかもしれません。

けれど子どもの中には、その子なりに「こうありたい」という意思がちゃんと息づいている。

昔ばなしは、「こうしなさい」と説教せず、子どもの内側にある意思を尊重して、応援してくれます。

気遣いができるほど比較してしまう

他人の子と比較し始めたら、子育ては苦しい。

できれば人と比べたくない。

でも、気づくと比べている。

そんなとき、次のことを思い出してください。

比較すること自体は、人間としてとても自然だということです。

心理学では、人は自分がどこにいるか確認するために、どうしても他人と比べてしまう生き物だと言われています。

特に空気を読んで気遣いができる人ほどそうなります。

だから「比べちゃダメ」「気にしないようにしよう」と自分に言い聞かせても、うまくいきません。しょうがない。

むしろ抑えようとするほど、比べてしまいます。