子育てが楽になる自分への言葉

もちろん、ごはんを作る、おむつを替える、着替えをさせる、送り迎えする、トイレットトレーニングをするなどの行為は必要です。

私も毎日子どもの3つのお尻を拭いていた時期は「小人が出てきて代わってくれ!」と思っていましたが、昔ばなしはこうした作業の代理はしてくれませんでした。

でも、失敗してもまた立ち上がる力や、人の気持ちを想像する力、何があっても大丈夫と思える心の土台まで、親一人で全部育てようとしなくていい。そういう、目には見えにくい子育ての大切なところの一部は、昔ばなしに任せていいのです。

寝る前5分、昔ばなしを読む。

それだけで、

「この子の頭と心は、今日も少し育っている」

と思っていい。

この許可を自分に出せたとき、子育てはとても楽になります。

多忙な母の子育てを救った言葉

学生時代の恩師が、こう言ってくれていたのです。

「お話さえ聞かせておけば、子どもはちゃんと育つよ」

私は、その言葉に救われました。

どんなに余裕がなくても、どんなに心が荒れていても、寝る前のほんの5分だけ、子どもたちの体温を感じながら昔ばなしを語る。

子どもたちにやさしい言葉もかけられず、怒ってばかりだった日々。

「今日もお話を聞かせることができた」という事実だけが、不完全な私の、唯一の免罪符でした。

寝かしつけをする母親
写真=iStock.com/FG Trade
※写真はイメージです

すると、どうでしょう。

昔ばなしを浴びるように聞いて育った3人の子どもたちは、自ら育っていきました。長女と長男は希望していた御三家の中学へ入学し、長女はその後、東京大学へ進みました。

でも、それよりもずっとうれしかったのは別のことです。

自分の頭で考えて動く力、人の痛みに気づける想像力、壁にぶつかっても諦めない粘り強さ。

そういう人として生きていく力が、3人それぞれの中に育っていったことです。