子育てが楽になる自分への言葉
もちろん、ごはんを作る、おむつを替える、着替えをさせる、送り迎えする、トイレットトレーニングをするなどの行為は必要です。
私も毎日子どもの3つのお尻を拭いていた時期は「小人が出てきて代わってくれ!」と思っていましたが、昔ばなしはこうした作業の代理はしてくれませんでした。
でも、失敗してもまた立ち上がる力や、人の気持ちを想像する力、何があっても大丈夫と思える心の土台まで、親一人で全部育てようとしなくていい。そういう、目には見えにくい子育ての大切なところの一部は、昔ばなしに任せていいのです。
寝る前5分、昔ばなしを読む。
それだけで、
「この子の頭と心は、今日も少し育っている」
と思っていい。
この許可を自分に出せたとき、子育てはとても楽になります。
多忙な母の子育てを救った言葉
学生時代の恩師が、こう言ってくれていたのです。
「お話さえ聞かせておけば、子どもはちゃんと育つよ」
私は、その言葉に救われました。
どんなに余裕がなくても、どんなに心が荒れていても、寝る前のほんの5分だけ、子どもたちの体温を感じながら昔ばなしを語る。
子どもたちにやさしい言葉もかけられず、怒ってばかりだった日々。
「今日もお話を聞かせることができた」という事実だけが、不完全な私の、唯一の免罪符でした。
すると、どうでしょう。
昔ばなしを浴びるように聞いて育った3人の子どもたちは、自ら育っていきました。長女と長男は希望していた御三家の中学へ入学し、長女はその後、東京大学へ進みました。
でも、それよりもずっとうれしかったのは別のことです。
自分の頭で考えて動く力、人の痛みに気づける想像力、壁にぶつかっても諦めない粘り強さ。
そういう人として生きていく力が、3人それぞれの中に育っていったことです。

