感情は流れる「雲」、心の奥には「青空」あり

「波」の他に、もう1つ心が軽くなるイメージとして、“雲と青空”があります。

不安や怒りは、空に浮かぶ「雲」に過ぎません。雲の奥には、いつでも澄み渡る「青空(本来の穏やかなあなた)」が広がっています。

雲を無理にどけようとすると、かえって意識が向き、濃くなってしまいます。「そこにいていいよ」と受け止めれば、雲は風に流され、また青空が顔を出します。マインドフルネスの実践では、思考や感情を“空に浮かんでは流れていく雲”として観察することで、心の静けさと回復力を育てていきます。

曇り雨の夏の空と合間にのぞく晴れ間
写真=iStock.com/NaokiKim
※写真はイメージです

波と青空を共有した親子

ある小学生の女の子が、「もう誰も私と遊んでくれない」と泣き続けたことがありました。お母さんは理由を問いただしたり、これまでのように「そんなことないよ」と否定したりせず、そっとこう言いました。

柳川由美子『がんばり過ぎる親の心を休ませる子育ての不安と孤独をほぐす心理学』(実務教育出版)
柳川由美子『がんばり過ぎる親の心を休ませる子育ての不安と孤独をほぐす心理学』(実務教育出版)

「今は悲しみの波が大きいね。でも、波はきっと小さくなるよ」

娘の手を包みながら、2人で呼吸を合わせ、窓の外の音に耳を澄ませます。「頭の上にも空が広がっているね」と伝えると、娘さんの呼吸は静まり、涙も止まりました。

やがて波が引いて落ち着いた彼女は、ポツリと「今日、私がわがまま言っちゃったんだ」と話し始めました。そして「明日、私から『ごめんね』って言ってみる」と、自ら答えを見つけ出したのです。

お母さんは「感情を無理に変えようとしなくても、ただ青空に帰れば、子どもは自分で考えられるんだ」と思ったそうです。