学校で何かあって子供が泣きじゃくり、怒り・哀しみに包まれている時、親はどうすればいいのか。公認心理師の柳川由美子さんは「親は子供に問いただしたり、『そんなことないよ』と無理に否定したりしなくても、大波を静める方法がある」という――。

※本稿は、柳川由美子『がんばり過ぎる親の心を休ませる子育ての不安と孤独をほぐす心理学』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

屋外で娘を抱きしめる母
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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どんなに荒れた感情もやがて静まる「波」

子どもの不安や怒り、悲しみに向き合う時、親の私たちは「早く泣き止ませなきゃ」と焦りがちです。でも、感情は押さえ込んだり、「どうして?」と理由を探し続けたりするものではありません。それは、ただ通り過ぎていく自然現象――「波」や「雲」のようなものです。

強い不安や怒りに包まれると、「この苦しい気持ちが一生続くのではないか」と錯覚してしまうものです。

でも、“90秒マントラ”を思い出してみてください。どんなに激しい感情も、ずっとは続きません。感情は、寄せては返す「波」のように必ず引いていくのです。

「マントラ」とは、心を落ち着かせるために繰り返す短い言葉のこと。怒りがこみ上げた瞬間、まずは深呼吸しながら、心の中で「私は落ち着ける」と唱え、最初の6秒をやり過ごす。そして、続く90秒間は、感情を鎮めるための“やさしい言葉”を自分に繰り返してあげてください。

(例:「私はベストを尽くしている」「怒りも私の一部だけど、それがすべてじゃない」「この状況だったら怒りたくもなるよね。わかるよ」など、自分がホッとする言葉)

「今、不安の波が来ているな」と気づき、ただ見守ることができれば、波は自然と小さくなっていきます。「どうしてこんな気持ちになるの?」と理由を探すよりも、「これは一時的な波だ」と気づくことが、心をやさしく保つコツです。

「波」に飲まれず、ただ見守る

では、大波が来た時、具体的にどうすればいいのでしょうか。

まずは、「胸がザワザワしている」「涙が出てきた」と心の中で実況中継してみてください。言葉にすることで、感情と自分の間に距離が生まれます。そして、「不安が来ているな」とただ観察します。「なんで?」「どうしよう」と、さらに不安になるような考えを継ぎ足さなければ、波は自然に静まります。

それでも波に飲まれそうな時は、呼吸のリズム、手のぬくもり、足裏の安定感など、自分の五感に注意を戻してみましょう。身体の感覚に意識を向けることで、思考の嵐から抜け出し、「今、ここ」に帰りやすくなります。