受け取る年金額を増やしたいなら、受給開始を65歳より遅らせる「繰下げ受給」が効果的だ。さらに、「片方繰下げ」をすれば節税にもなるという。「老後のお金」をテーマに情報発信する社労士みなみさんの著書『知りたいことがぜんぶわかる! 定年前後のお金の超基本』(Gakken)より、一部を紹介する――。(第2回/全3回)
「1階だけ」「2階だけ」繰り下げもOK
みやおチャ太郎
会社員(58歳)。子どもは独立し、パート勤務の妻と2人暮らし。定年が近づき、「退職金はどう受け取るのがいいのか」「年金だけで暮らせるのか」と気になることが増え、定年前後のお金に詳しいみなみ先生に相談することになった。
会社員(58歳)。子どもは独立し、パート勤務の妻と2人暮らし。定年が近づき、「退職金はどう受け取るのがいいのか」「年金だけで暮らせるのか」と気になることが増え、定年前後のお金に詳しいみなみ先生に相談することになった。
――みなみ先生、繰下げで年金を増やすことを検討しておきたいのですが、繰下げは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々にできるんですよね?
はい。受け取る順番の制限もありません。つまり、繰上げ受給のように「セットでしかできない」という決まりがないので、より柔軟に設計できるんですよ。
――どちらを先に受け取るかも、自分で選べますか?
はい、その通りです! でも、「年金は全部まとめて繰り下げるもの」と思っている人も、まだ結構多いんですよ。2階建ての年金なら、どちらか一方だけを繰り下げることができます。
――なるほど。順番も関係ないし自由度が高いですね~。
年金には年214万円の非課税枠がある
それに、繰下げを考えるときは、税金のことも意識しておくといいですよ。例えば、片方だけ繰り下げて受給額を調整することで、結果的に税金を抑えられるケースもあります。
――そもそも年金にかかる税金についてわかっていません……。
まずは、基本からお伝えしますね。老齢年金は、受け取ると「雑所得」として扱われて、所得税の対象になります。ただし、「公的年金等控除」があって、一定額までは非課税になります。
――具体的にはどのくらいの控除が受けられますか?
年金だけを受け取っている場合、「公的年金等控除額」が110万円(※1)、さらに「基礎控除」が104万円(※2)あります(合計所得金額による条件あり)。この2つを合わせると、年金収入が214万円以下なら所得税はかかりません。
※1 65歳未満の公的年金等控除額は60万円
※2 2026年税制改正後の金額(2026~2027年に適用予定)

