「片方繰下げ」なら節税+年金増額

――つまり、年金が214万円以下なら所得税ゼロってことですか?

そうなんです。例えば、両方を繰り下げると、その間年金は受け取らないので、この非課税枠を使わずに過ごすことになります。

――なるほど……。繰下げ中にその枠が無駄になるってことですね。

その通りです。そこで使えるのが、「片方繰下げ」という選択肢です。図表2のように、両方受給せずに、片方繰り下げることで、老齢厚生年金140万円を非課税で受け取ることができます。

――税金を減らせるのですね。繰下げするから年金も増えますよね。

はい。この例で5年繰り下げると、繰下げ期間中は、140万円ですが、70歳以降は、老齢基礎年金が増えて総額253万6000円です。

――老齢基礎年金は42%増額するから、年額33万6000円多く受け取れるのですね。

はい。節税もできて、年金も増える。まさに“いいとこどり”できるのが、「片方繰下げ」の強みなんです。一方で注意点もあります。

加給年金210万円をもらえるはずが…

――意外な落とし穴のことですね。具体的にはどんなことですか?

加給年金や振替加算との関係です。

――配偶者が65歳までもらえる家族手当みたいなものですよね?

そうです。加給年金(第1回)は老齢厚生年金にくっついて支給されるので、老齢厚生年金を繰り下げると、その間は加給年金も受け取れません。例えば図表3のように5年間繰り下げると、その分まるごと加給年金がカットされます。