製造業→テックになって起きたこと
――トランプ大統領の「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン、アメリカを再び偉大に)」の「アゲイン」の指しているのは1950年代~60年代の、世界中が疲弊している中で、アメリカが明らかに突出して繁栄していた時代ということですね。
【今村】アメリカの繁栄自体は今も続いているんですよね。主導する産業が製造業から、サービス業に移っていき、今はテック、AIになってきているわけです。常に世界の先端で、世界をリードしていく産業がアメリカにはあるんですね。
ところが、製造業の時代はある意味「全員参加型」で、みんなに恩恵があったんです。大学に行かなくても、高卒でもメーカーの工場で働けば、子供を大学に行かせられるぐらいの収入が得られて、安定した良い生活を送れたんです。けれども、そうした雇用は、中国など他国に行ってしまった。
今、テック産業はものすごく繁栄していますけれども、そんなところで働ける人たちはごくわずかです。あとはもうテックのユーザーになるしかないわけです。しかも最近はAIによって、そのテック産業の本来ならば必要な雇用すら要りませんという話まで出てきているわけですよね。エントリーレベルのそうした仕事は、もうなくなってくるというふうに言われていますから。
超格差社会になった仕組み
これにより、ものすごく不安が広がりますよね。社会を安定させるにはやっぱり所得の再分配とかが必要なんですが、資本主義をかなり磨き上げたアメリカで、特に稼いでいる人たちからすると「なんで所得の再配分を」という声になってしまう。
それでものすごく格差が広がり、しかも株式はどんどん上がっていく。その株を持てる人たちもやっぱり富裕層とかに限られてきますから、どんどん所得の差が開いていく。
そんな中で、トランプ氏は実は中低所得層の声を掻き集めてきている。有権者の数でいうと中低所得層が圧倒的ですから。

