「屋根裏」と「真夏の車内」は同じ状態
屋根裏の温度上昇の主因は「一次と二次輻射の連鎖」にあります。
外気温35℃と屋根表面温度80℃は、まったく異なった物理現象の結果です。屋根面は日射によって直接加熱され、太陽からの短波輻射を吸収します。その後、加熱された屋根材は長波輻射として周囲へエネルギーを放出しているのです。
この輻射エネルギー量は、「ステファン=ボルツマンの法則」に従い、温度の4乗に比例します。東京大学大学院工学系研究科の公開講義資料「建築環境工学基礎」(2022年)でも、輻射熱流は温度差に対して非線形に増大すると説明されています。屋根面が80℃に達した場合、その輻射量は理論上300〜400W/平方メートル規模になります。つまり、屋根裏は単に暑い空間なのではなく、面として強力な輻射源になるのです。
この屋根裏の状態は夏の車内にもたとえられます。
一般財団法人日本自動車研究所の実測実験(2022年報告)では、外気温33℃の条件下で、閉鎖車両内温度は60℃を超えると報告されています。夏に車内が異常に暑くなる理由は、短波輻射が車内に入り込み、内装材を加熱し、それらが長波輻射として再放出するからです。この二次輻射と対流加熱が温度上昇を加速させます。
屋根裏は「巨大なオーブン」になる
これと同様の現象が屋根裏でも起きています。屋根材が80℃に達し、その輻射が遮熱鋼板や断熱材表面を加熱します。加熱された天井材は再び長波輻射を行いますが、この現象を「二次輻射」と定義します。天井裏は二次輻射で空気が加熱された状態になるのです。
屋根裏空間は密閉に近い状態です。通気が不十分な場合、輻射で加熱された部材が空気を温め、空気温度は40〜50℃に達します。これは国立研究開発法人建築研究所の「木造住宅小屋裏温度実測調査」(2022年)でも確認されています。関東地域の戸建住宅10棟の測定で、小屋裏温度は外気温34℃時に48℃まで上昇しました。
いうなれば屋根裏は巨大なオーブンのように振る舞い、室内を温めています。300〜400W/平方メートルという輻射負荷は、決して小さくありません。
エアコンで比較してみましょう。一般的なエアコンの冷房能力は6畳用で約2.2kWほど。仮に天井面積が40平方メートルあれば、300W/平方メートルの輻射が続けば、理論上12kW相当のエネルギーが関与する計算になります。こうみると、屋根裏で発生するエネルギーの重みがわかるはずです。
もちろん、全量が室内に入るわけではありません。しかし、断熱材を介して遅延しながら侵入する熱量は無視できません。

