自民党関係者によると、自民党の新人議員ら約20人が小泉氏を講師に呼んで脱原発勉強会を旗揚げする見込みという。脱原発は首相にとって極めて厄介なテーマになりつつあるのだ。
「小泉氏は脱原発についての自民党内の勢力図を“五分五分”と話していたが、本音では脱原発だと思っている議員が多いのは事実。今は安倍首相に逆らえないから黙っているが、安倍政権の支持率が落ちれば、脱原発が政治の大きなテーマとして浮上してくる可能性は大きい」と若手議員は話す。
アベノミクスの成功で株高、円安が続いているうちはいいが、来年4月には消費税が8%に上がり消費の冷え込みが懸念される。もし株価が下がれば安倍人気は急落し、脱原発ムーブメントに火がつく恐れがあるのだ。
石破、進次郎両氏が安倍氏に立ち向かう?
厄介なことに小泉氏は今後も脱原発を言い続けると宣言。しかも小泉氏が「脱原発新党はつくらない」と言っているため、小泉氏を反自民党の“謀反人”として攻撃することもできない。
小泉発言のインパクトの大きさゆえか、党内では「次期総裁選をにらんだ仕掛けでは」との臆測もささやかれだした。
「安倍首相は、昨年の自民党総裁選で石破茂幹事長を推した小泉進次郎氏を今秋の人事で復興担当政務官に据え政権内に取り込んだ。石破氏と進次郎氏がセットで首相に立ち向かうのを防ぐためだ。が、次の総裁選で、もし石破氏が“将来的には原発ゼロにする”と脱原発に舵を切ったら、争点は脱原発になる。人気者の進次郎氏が石破氏に同調し、脱原発を唱えて石破氏を推したら、首相は非常に厳しい戦いを強いられる。小泉元首相は進次郎氏取り込みを策す安倍氏に、脱原発という楔を打ち込んだのではないか」(自民党代議士)
当面の焦点は来年の春闘で大手企業がベースアップを行えるかどうか。政府・自民党はアベノミクスの成果を示すために、財界トップにベースアップの実施を求めているが、企業側も慎重だ。給料が上がらない限り国民はアベノミクスの恩恵を実感できず、支持率ダウンは避けられまい。“小泉劇場”の幕が上がるのはそのとき?