他人を値踏みしたい欲望

私たちはいま、他人を雑に品評することが許されない社会を生きている。顔がどうだ、体型がどうだ、服装がどうだ、結婚しているかどうか、子どもがいるかどうか、収入がいくらか、どんな仕事をしているか――そうしたスペックやステータスをめぐる不用意な発言は、以前よりもはるかに強く忌避されるようになった。

だが人間は、それほど簡単に「他人を値踏みしたい欲望」から自由になれるわけではない。むしろ、表立って言ってはいけないことが増えたぶん、その欲望は行き場を失いフラストレーションを生じさせている。だれかを見下したい。だれかを笑いたい。だれかを「自分より下」に置いて安心したい。けれども、それをそのまま口に出すことは、いまやリスクが高い。

……そう、そこで登場するのが「おじさん」である。