そのように利己主義、個人主義が蔓延する中であっても、国民みなが折に触れて特定のファミリーを強く意識することになる君主制国家においては、多少なりとも出生率が高くなる場合があるとしても不思議ではないだろう。

もしかすると日本の惨状ですらも、近隣諸国との比較論的には「象徴天皇制を採用している東アジア唯一の世襲君主国だからこそ、この程度の少子化に抑えることができている」といえてしまうのかもしれない。

皇族増員を妨げる「税金で食わせてやっている」という声

皇室の在り方について語る際に、社会的効果という観点を持ち込むことを筆者はあまり好まないのだが、この国難を前にしては、残念ながらそうもいかない。

こんなことを申し上げるのは誠に畏れ多いが、以上を踏まえると、皇室の方々にはぜひとも一種の「ノブレス・オブリージュ(※貴人の義務)」として、ご無理のない範囲でより多くのお子さまを儲けていただきたい。

しかし残念ながら現在の皇室制度は、そもそも世襲制とは生殖を大前提とする仕組みであるにもかかわらず、子どもを儲けることへの心理的ハードルを皇族方に抱かせかねない形になってしまっている。

皇族が結婚することは、苦しむ人間を一人増やすことだから、自分は結婚しない――。三笠宮家の寛仁親王によれば、弟である桂宮宜仁親王は常日頃からそのように仰っていたという。

桂宮がそう決意なさったのはなぜなのか。寛仁親王は生前、次のように理由をお語りになった。

「私の姉妹弟たちも、それから二人の娘たちも経験しているはずですが、学習院の初等科時代、クラスメイトから『お前たちは俺たちの税金で食わせてやっているんだ』という嫌味なことを言われるのですよ」
――『文藝春秋』平成18年2月号「なぜ私は女系天皇に反対なのか」より。

三笠宮家のお子さまはみな、税金云々と学生時代に言われた経験がおありらしい。特に桂宮の場合は「親友だと思っていた相手」からそう言われて、生涯忘れられないほど深刻なトラウマを負ってしまわれたそうだ。

桂宮宜仁親王
桂宮宜仁親王(写真=Japanese/CC-Zero/Wikimedia Commons

秋篠宮「国費負担の観点では、皇族が少ないのは悪くない」

ここで疑問なのだが、上記のようなご経験は、はたして三笠宮家だけの話なのだろうか。

思い出されるのが、愛子内親王殿下が学習院初等科に在学されていた頃「乱暴なことをする児童たち」のせいで一時期不登校となられたことだ。皇統を未来に繋ぐことを期待される悠仁親王殿下に至るまで、多くの皇族方が経験されてきているのではないかと不安を抱かずにはいられない。

「国費負担という点から見ますと、皇族の数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」

上に示したのは平成21(2009)年11月25日、秋篠宮殿下がお誕生日に際して仰ったお言葉である。