「ながら聞き」でも学習効率は落ちない
朝の満員電車の中で、窓の外の景色も見えないし、本を広げる余裕もない。それでも耳だけは、まだ元気に動いている。通勤、家事、散歩などのながら時間は、実はかなり秀逸な学びの時間になりえます。
ポッドキャスト学習の研究は、医師の世界から一気に広がりました。
ラッシュ大学医療センターのゴットリーブらは、救急医療を学ぶ医師を対象に、通勤中の車の運転をしながらポッドキャストを聴く場合と、静かな部屋で座って聴く場合を比べました。どちらも同じ30分間の教育用ポッドキャストを聴いたあとにテストを受けてもらい、その場での理解度と、1カ月後の覚え具合を調べたのです。
その結果、運転しながら聴いたグループと、座って聴いたグループの間で、知識の獲得や保持に大きな差は見られませんでした。運転中だからといって、学びが極端に薄くなってしまうわけではなかったのです。
また、ゴットリーブらは、今度は「運動しながらポッドキャストを聴く」場合も調べました。有酸素運動マシンで30分間体を動かしながら聴く条件と、イスに座って聴く条件を比較し、聴いたあとすぐと30日後のテスト成績を確認しました。
その結果も、運動しながら聴いた場合と座って聴いた場合で、成績に目立った違いはほとんど見られませんでした。軽い運動をしながら音声学習をするという組み合わせは、少なくとも知識の定着を大きく損なうものではないと示されたわけです。
運転と学習を上手に両立させる脳
マクマスター大学のジャッバリらは、さらに一歩進めて、運転シミュレーターを使った実験を行いました。
大学生と医師が、街なかのように注意を取られやすいコースと、郊外のように単調なコースを運転しながらポッドキャストを聴き、そのあとで内容をどれくらい覚えているかを調べました。
その結果、静かな部屋で聴いた場合と比べても、知識の獲得に大きな差は見られませんでした。むしろ単調な道を走っているときは、若干成績がいい場面もあったと報告されています。運転のように、自動化された動作と音声学習の組み合わせなら、脳は意外と上手に両立してくれるようです。

