“期待し過ぎる親”は子どもを追いつめる

たとえ普段の関係がよくても、期待の量が過剰になると、子どもはやはり苦しくなります。期待には2つの顔があります。「あなたならできる」と温かく見守る期待と、「できなければ失望するよ」という圧を伴う期待です。

例えば、子どもが「習い事をやめたい」と言った時、「ここまでがんばったんだから続けよう」という言葉は、一見励ましのようですが、受け取る側からすると、“がんばり続けないと認めてもらえない”という誤解につながることがあります。親の温かい思いが、量や強さを間違えることでプレッシャーへとすり替わってしまうのです。

「◯◯すべき」という思い込みに気づこう

多くの場合、過剰な期待は親自身の中にある「子どもはがんばり続けなければならない」「周りから“きちんとした親”だと思われたい」といった思い込みから始まります。

柳川由美子『がんばり過ぎる親の心を休ませる子育ての不安と孤独をほぐす心理学』(実務教育出版)
柳川由美子『がんばり過ぎる親の心を休ませる子育ての不安と孤独をほぐす心理学』(実務教育出版)

こうした思い込みの背景には、“子どもを思う気持ち”と同時に、「親としてこうあるべきという自分自身へのプレッシャーも潜んでいます。

でも、それが強過ぎると、目の前にいる子どものありのままを受け止める余裕がなくなってしまいます。心理学では、この内なる基準を意識化するだけで、子どもへの関わりがやわらかくなることがわかっています。

「私は子どもに何を求めているのだろう?」

「それは本当に、この子のため? それとも私の安心のため?」

心の中で、そう問いかけること自体が、過剰な期待を手放し、子どもとの健やかな距離を整えるきっかけになります。

夕方、宿題を見るのが日課になっていたお母さんは、毎晩のように「ちゃんとやったの?」と声をかけていましたが、「私は“きちんとした母親”でいたいだけかもしれない」と気づいたそうです。

そこから、声かけを「今日もよくがんばったね」と変えたところ、子どもが自然に自分から机に向かうようになりました。

親が自分の内側を少し見つめ直すだけで、子どもとの間に流れる空気がやわらかく変わっていきます。完璧な親になる必要はありません。

むしろ、「うまくいかない日もあるよね」と笑い合える関係こそが、子どもの心をのびやかに育てていくのです。

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