「この人のために勝ちたいと思わせる監督」
森保ジャパンの強みはなんといっても、ベンチを含めたチームの一体感である。チーム最年長の39歳、長友佑都選手の熱量たるや。チームで一番、戦っているように見える。
藤江さんは「これは森保監督の素の顔ゆえでしょう」という。
「選手たちはよく、森保さんを、“この人のために勝ちたいと思わせる監督”と表現します。森保監督一期目の時、吉田麻也キャプテン(当時)がこう言いました。“僕はいろんな監督のもとでプレーしてきましたけれど、ここまで選手のことを本気で考えてくれる監督は珍しい。神輿で担ぎたいと思う監督であるのは間違いない”って」
そういえば、森保監督は国際Aマッチを終え、選手が三々五々、別々の飛行機でクラブのある都市に戻っていく時、宿舎のホテルで全員、見送るのだそうだ。「一人一人に“お疲れ様”“また次に”といった感じで。これは計算してやっていることじゃないと思います」と、藤江さんは監督の心遣いに感銘を受けている。
また、藤江さんはこんなことも教えてくれた。国際Aマッチでは26人前後が招集されても、試合ベンチに入れるのは23人となるケースが多い。だから、必ず3人程が試合メンバーから外れることになる。
「森保さんは試合メンバー決定前夜に必ず、外れる選手の宿舎の部屋をノックして、次は試合から外れてもらう旨を直接、伝えにいくんです」
これは、選手へのリスペクトが成せるワザだろう。長友は2024年3月のW杯アジア2次予選の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦でサプライズ復帰したが、その後、ほとんどベンチから外れてきた。だが、長友は森保監督からメンバー外を伝えられると、その都度、「次はベンチに入れる選手になって見せます」というそうだ。ゆえにW杯最終メンバーに選ばれたのだろう。
情に厚い監督が下した、遠藤航を外す非情な決断
選手思いの森保監督だが、今回のW杯開幕の3日前、前主将の遠藤航をけがの影響でチーム離脱させることを決めた。「驚きました」と藤江さんは述懐した。
「下手したら、チームが空中分解していましたから。たぶん、森保さんの中では、大会中にコンディションが100%に戻ってくれるんだったら選ぶという基準があったんでしょう。例えば、冨安健洋選手もけががちだったんですけど、プレーできる状態に戻るから選びました。でも、遠藤選手はもう無理と判断した。“泣いて馬謖を斬る”じゃないですけど、情に流されず、選考基準をぶらさせなかったということです」
